2022 Fiscal Year Research-status Report
ナチス期ドイツにおける幼児教育と家族に関する社会史的研究
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19K02391
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小玉 亮子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50221958)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 幼児教育 / ジェンダー / 社会史 / ナチス期 / ペスタロッチ・フレーベルハウス / 戦争 / 母なるもの |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ナチス・ドイツにおいて、幼児教育がどのような役割を果たしたのかを明らかにすることを目的としている。特に、ドイツの幼児教育の中心にあっ たペスタロッチ・フレーベル・ハウスの活動を分析の対象としている。この分析を通じて、ドイツの幼児教育とファシズムの関係を問うのみならず、幼児教育それ自体のもつ課題に迫ることを目指すものである。 この研究目的のため、コロナ禍にあって、ドイツ資料調査ができなかったが、2022年度にはようやくドイツへの渡航が可能となり、8月にベルリンでの資料調査をおこなうことができた。 成果としては、、2022年9月に、小玉亮子・一見真理子編『幼児教育研究の新地平(幼児教育の現代史)』を刊行し、この本に、戦時下の幼児教育についてリリー・ドレシャーに焦点をあてた論稿を掲載することができた。さらに、9月の教育史学会でシンポジストとして教育史をケアの思想から考える議論を報告することができた。同年12月幼児教育史学会大会シンポジウムでシンポジストとして「戦争と復興の時代の幼児教育について」と題する報告をおこなった。合わせて、同12月には、ジェンダー史学会において「幼児教育と母なるもの:戦争と復興の時代のペスタロッチフレーベルハウス」という報告を行い、そこでは、ペスタロッチ・フレーベルハウスの校長として活躍した、ヒルデガルト・フォン・ギールケについての報告をおこなった。さらに、日本教育学会の『教育学研究』に投稿した「幼児教育におけるジェンダー・ポリティクス -ペスタロッチ・フレーベルハウスとナチズムの関係に着目して-」(第89号、第4号、pp. 27-39)が公開された。 本年後はいくつかの成果をだすことができたが、12月に学会報告をしたヒルデガルト・フォン・ギールケに関する論文をまとめる作業が残っている。この点をまとめるために、次年度へ研究期間の延長申請した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度まで、コロナ禍で二年間以上、資料調査のためにドイツにいくことができなかったことが、研究を進める上での困難となっていた。しかし、2022年度は、二つの学会でシンポジストとしての発表、また、一つの学会での個人発表を行い、さらに、学術書籍における論文掲載と、学会誌(査読あり)への論文の掲載と合計2本の学術論文をを公表することができた。以上から2022年度に関してはは予想以上の成果を上げることができたと考えている。 以上のことから研究期間全体としては、途中で進捗のおくれがあったものの、2022年度には、その分の予想以上の成果を出すことができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍において、ドイツへの資料調査ができなかったことから、まとめるべき研究が残されている。必ずしもこれまでスポットライトがあたってこなかったヒルデガルト・フォン・ギールケに関する研究である。これについては、2022年12月のジェンダー史学会で報告をしてあるものの、若干の資料の補足が必要であり、さらにこれらをふまえつつ、ナチス期の幼児教育の動向についての総括が必要となると考えている。今回、期間延長が許可されたため、一年間の延長中に、論文としてその成果をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で二年間にわたりドイツに資料調査に行くことができなかった。2022年度は可能となったが、渡航が困難となっていた2年分の調査をはたすことができなかった。そこで、一年間の研究期間の延長を申請し、そのための調査に渡独することを計画している。
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