2019 Fiscal Year Research-status Report
地域学校協働活動推進員の役割のモデル化と養成・研修プログラムの設計開発
Project/Area Number |
19K02394
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
益川 浩一 岐阜大学, 地域協学センター, 教授 (40334916)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域学校協働活動 / 地域学校協働活動推進員 / 養成・研修プログラム / 役割 / モデル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
岐阜県内の地域学校協働活動の実施状況を調査した。地域学校協働本部を設置している市町村は9市町村で21%、2021年時点では17市町村で41%となる見込みである。地域と学校を結ぶ役割を果たす地域学校協働活動推進員(以下「推進員」と呼ぶ)を配置しているのは5市町村のみで、2021年時点の見込みでも9市町村に留まる。一方で、国が一体的な推進の必要性を説いている学校運営協議会の設置率は、2019年で23市町村、55%あり、2021年には30市町村で71%となる見込みである。地域学校協働本部の設置率は、学校運営協議会の設置率の半分ほどであることが明らかとなった。 事業の推進に向けた課題として、「地域学校協働活動推進員等新たな指導者の養成・確保・機能強化」と回答したのは19市町村に及び、約半数の市町村が支援を必要としていることが明らかとなった。 市町村からの要請に応えるべく、2019年4月、地域創生の人材育成において研究を進める岐阜大学と岐阜県で、「ぎふ地域学校協働活動センター(以下「協働活動センター」と呼ぶ)」を共同設置した。協働活動センターは、子どもの成長を支援するとともに、地域のつながりを強化し、活性化を図ることを目的に、「人材育成・確保」「調査研究」「普及啓発」につながる事業を展開する機能を担う機関であり、人材育成・確保の一環として、「地域学校協働活動推進員等育成研修(以下「推進員等育成研修」と呼ぶ)」を実施した。 研修実施のプロセスにおいて、推進員に求めらる力量として、「地域学校協働活動に関する基礎知識」「地域や学校の実情に応じた地域学校協働活動の実施に向けた活動プランの企画・立案手法」「地域学校協働活動の実際及び推進員の役割や使命の理解」「子どもの特徴や子どもとの関わり方の理解」を析出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の実施計画は、(ア)協働活動の促進・発展に資する推進員(それに類する役割を果たしてきた者:例えば学校支援コーディネーター等、以下、 推進員等)の実践事例を収集するべく、複数の自治体(教育委員会)、社会教育・生涯学習施設等の職員及び推進員等への調査を実施する。(イ)職員や推進員等に対する調査データをもとに、協働活動への具体的な関わりやその方法について整理・分析し、推進員の役割のモデル化に向けた検討を行う。(ウ)協働活動の発展に資する推進員等の役割に関する理論的動向を把握するために、海外も含め書籍・学術雑誌のレビュー・検討を行う。(エ)上記(ア)~(ウ)を円滑に進めるために、研究代表者及び地域・自治体の関係者等が集い、定期的に打ち合わせ・学習会を実施する。の4点である。これらの諸研究を推進することができた。 こうした研究を進めることで、推進員に求めらる力量として、「地域学校協働活動に関する基礎知識」「地域や学校の実情に応じた地域学校協働活動の実施に向けた活動プランの企画・立案手法」「地域学校協働活動の実際及び推進員の役割や使命の理解」「子どもの特徴や子どもとの関わり方の理解」を析出することができた。 このことを通して、本研究の目的である①協働活動をコーディネートする推進員が果たす役割のモデル化。②①に基づいて、推進員が自らのアクションを構想したり、実践したり、点検したりする際に必要とされる力量(専門性)のルーブリック化。③①・②を踏まえた推進員の養成・研修プログラムの設計開発と実践・検証に接近することができた。 したがって、「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、企画・実施した研修会の改善点を認識し、前向きに取り組む受講生の意欲を大事にして、受講生全員が推進員としての力をつけ、修了できる研修を企画し、その効果を引き続き検証していきたい。今年度は、研究初年度ということもあり、研修参加の年度途中の申込みに対応するため、前後期の2期制で実施したが、今後は、4日間1期の開催としていく。欠席者への対応として、毎回の研修終了後に、各会場でDVDを用いたセンター職員等による補講を実施する方向で調整し、欠席者も出席者と同程度の研修を受けられるように担保する。 受講者にとって実りある研修とするために、対象を絞って、研修内容を焦点化していくことも必要である。そのため、新たに推進員等育成研修修了者を対象としたフォローアップ研修を加える予定である。実践的な内容をフォローアップ研修に盛り込むことで、推進員等育成研修の内容はより基礎的なものに軸足を置くことができると考える。 地域学校協働活動の推進は、子どもの成長と地域創生の視点から必要不可欠であるが、一朝一夕には進まないことも事実である。本研修の受講修了者が市町村に戻り、課題を乗り越えながら、地域の実態に応じた活動を推進していくことが求められる。本研修の受講修了者の地域・自治体での活動についてもフォローし、推進員として求められる力量のさらなる精緻な把握に努めていきたい。
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