2020 Fiscal Year Research-status Report
地域学校協働活動推進員の役割のモデル化と養成・研修プログラムの設計開発
Project/Area Number |
19K02394
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
益川 浩一 岐阜大学, 地域協学センター, 教授 (40334916)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域学校協働本部の構築モデル / 地域学校協働活動推進員 / 地域と学校の連携と協働 / 学校運営協議会 / 地域学校協働本部 / 地域学校協働活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域・自治体においては、地域と学校の連携・協働の推進体制づくりが課題として挙げられており、地域学校協働本部設置とその活動をどのように進めればよいか悩む地域学校協働活動推進員(あるいは推進員委嘱予定者)は多い。そこで、岐阜県内市町村や社会教育関係団体とも連携し、地域学校協働活動を地域で支える仕組みづくりを支援することにより、各地域・自治体での自主的な実践活動を促進する支援活動を進めた。 短期支援プログラムは、出前講座の講師派遣といった単発の支援を原則とする支援である。2020年度は岐阜県内の8市町1団体がプログラムに参画した。活用場面としては、市町村の総合教育会議、社会教育委員の会、公民館関係者研修、学校運営協議会委員研修、コーディネーター研修、ボランティア研修、学校教職員研修等が挙げられる。 長期支援プログラムは、1年間継続して行い、事業の相談、活動の視察、研修会・学習会の開催等、総合的な内容を扱う。言わば、市町村と一緒になって、市町村の地域学校協働活動に係る推進体制をつくり上げていく事業である。長期支援プログラムについては、2020年度は岐阜県内4市町が参画した。市町村の地域学校協働活動関係課と継続して打ち合わせを行う他、要請に応じて総合教育会議、小中校長会や教頭会等での事業説明、学校運営協議会、コーディネーター、地域住民等を対象とする講演の講師派遣を行った。 このような取組を進める中で見えてきたのは、地域に即した多様な地域学校協働本部の構築モデルが存在するということであった。次のようなモデルが存在することが明らかとなった。 ①学校運営協議会を母体とするもの(46%)②公民館を母体とするもの(8%)③まちづくり関係団体を母体とするもの(13%)④青少年育成関係団体を母体とするもの(4%)⑤ボランティア団体を母体とするもの(その他を含め21%)⑥新規に組織化するもの(8%)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域学校協働本部設置とその活動をどのように進めればよいかという地域学校協働活動推進員(あるいは推進員委嘱予定者)が抱える課題を捉えて、市町村や社会教育関係団体とも連携し、地域学校協働活動を地域で支える仕組みづくりを支援することにより、各地域・自治体での自主的な実践活動を促進する支援活動を進めた。その結果、次のような構築モデルを見出すことができた。 ①学校運営協議会を母体とするモデル②公民館を母体とするモデル③まちづくり関係団体を母体とするモデル④青少年育成関係団体を母体とするモデル⑤ボランティア団体を母体とするモデル⑥新規に組織化するモデル これらは、研究テーマである「地域学校協働活動推進員の役割のモデル化と養成・研修プログラムの設計開発」を進める上で、基礎的な知見となり得る。 こうした支援プログラムの推進も功を奏して、2020年6月の文部科学省の調査では、岐阜県内の公立小・中・義務教育学校の学校運営協議会導入率は62.6%、地域学校協働本部整備率は44.4%となった。地域学校協働本部整備率は前年度から倍に伸び、学校運営協議会導入率との差も縮んだ。学校運営協議会と地域学校協働本部の両方の機能が備わっている学校の割合は、全国6位に位置している。これは本支援プログラムの大きな成果であると考える。岐阜県の調査では、現在本部を設置していないが、今後、本部整備を進めると回答する市町村が複数あり、本部の整備率がさらに高まることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で明らかとなった地域学校協働本部の構築モデルの知見を活かして、地域学校協働活動の促進・発展に資する推進員の役割をモデル化する。これをふまえつつ、地域・自治体等と連携し、協働活動の促進・発展に資する推進員のアクションを「ルーブリック(試案)」に纏める。さらに「ルーブリック(試案)」の妥当性を検証するために、多様な地域・自治体の関係者等に聞き取り調査を行う。併せて、推進員に特徴的なアクションを一層明確化するために、大学研究者にも聞き取り調査を行う。併せて研究知見の収集も行う。 また、「ルーブリック(試案)」に対する評価情報を整理・分析し、改訂の方針を定め、「ルーブリック」を完成させる。この作業をふまえて、地域・自治体等と連携し、「地域学校協働活動推進員養成研修プログラム(試案)」を設計開発し、実践する。併せて認証制度(修了証授与等)の検討も行う。「地域学校協働活動推進員養成研修プログラム(試案)」の成果を受講者のアンケート調査等から検証し、改善する。 これらの研究活動を通して、研究テーマである「地域学校協働活動推進員の役割のモデル化と養成・研修プログラムの設計開発」にさらに接近する。
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