2023 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期日本における高等教育と実業家:文科系を中心に
Project/Area Number |
19K02398
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
長廣 利崇 和歌山大学, 経済学部, 教授 (60432598)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 企業家 / 技能形成 / 徒弟制度 / 丁稚制度 / 高等商業学校 / 起業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の当初計画は、高等教育機関で得られる学知が産業(企業)に如何なる役割を果たしたかを明らかにするため、戦前期日本の実業家が高等教育時代に影響を与えられた事柄を検討することであった。対象とする高等教育機関は、実業家を輩出した帝国大学・公立大学・私立大学・高等商業学校であり、対象とする時期は、高等教育機関数が増える1920年代を中心とし、日中戦争がはじまる以前の時期であった。研究期間全体を通じて、以下の成果を得た。 まず、企業家の自伝等を用いてデータベースを作成した。この作業を通して、高等教育機関を卒業した企業家のみならず、中等・初等教育機関を経て企業家となった者の特徴を見出した。従って、当初計画の高等教育機関卒業者に限定した議論を修正した。 具体的には、第1に初等教育卒業者の事例として、足袋職人から靴製造事業に着手した松田一郎の事例を詳細に分析した。第2に高等・中等・初等教育卒業者の実業社会におけるあり方を「処世術」を通して検討した。第3に高等商業学校生徒の就職プロセスを通して、高等教育機関で得られる学知が産業に与える影響を検討した。これら3つの研究は刊行されているが、データーベースを分析して戦前期の企業家の特質を明らかにした研究は、ブラッシュアップのため、未定稿としている(ディスカッション・ペーパーとしては公開)。 これらの研究を通して、戦前期日本においては、フォーマルな学校制度のみならず徒弟制などのインフォーマルな制度を通した技能形成が産業に貢献していたという知見を得た。
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