2019 Fiscal Year Research-status Report
Contemporary Republican Theory of Education with Particular Reference to Citizensihp Education
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19K02399
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
蓮見 二郎 九州大学, 法学研究院, 准教授 (40532437)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 市民的共和主義 / シティズンシップ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
<目的>本研究は、現代における共和主義教育理論を次の2点において探求することを目的としている。①現代の英語圏における市民的共和主義の教育理論の哲学的基盤を解明すること。②その教育への含意(特にシティズンシップ教育への含意)を明らかにすること。本研究が特に注目するのは、「自由」概念と「複数性」概念との間の相関関係である。 <方法>①市民的共和主義の教育理論についてテキストを基に検討した。②これを反映させた、「シティズンシップ教育の哲学的基盤」に関する研究報告を行った。なお、③現代英国における市民的共和主義の教育理論家らを招聘し、教育と共和主義に関するシンポジウムを開催することを当初の研究計画では予定していたが、新型コロナウイルス感染防止の観点から、実施については慎重に検討することとした。 <理論研究>市民的共和主義の教育理論研究として、イギリスの教育哲学者であるジェフリー・ヒンクリフとアンドリュー・ピーターソンの論文・書籍を中心に分析を行った。これに加えて、市民的共和主義の政治思想について、特に投票に関するシティズンシップ教育という文脈に関連した文献を中心に国内外で渉猟を行った。 <研究報告>2019年度の研究成果としては、全国の高等学校の公民科教員を対象とした研修の場で英国のシティズンシップ教育とその政治哲学的基盤に関する招待講演を行った。また、シティズンシップ教育関連の全国学会において、政治学・政治理論の立場からシティズンシップ教育研究に関するシンポジウムでの報告を行った。さらに、韓国亜洲大学との国際シンポジウムにおいて、投票の仕方に関する規範理論を市民的共和主義の立場から考察する論考を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イギリスにおける現代市民的共和主義の教育論の代表的論者の一人であるジェフリー・ヒンクリフの理論を検討した、「徳論なき市民的共和主義は可能か?:ジェフリー・ヒンクリフのシティズンシップ教育論」関口正司編『政治リテラシーを考える』風行社、における分析をさらに進めた。特に、日本におけるシティズンシップ教育の主要舞台となっている模擬投票を市民的共和主義の観点からさらに適切な方法で実施するにあたり考慮すべき事柄について、「共通善」との関係から考察を進めることができた。以上の成果は、九州大学=亜洲大学共同シンポジウム(2020年2月、九州大学伊都キャンパス)において報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1.イギリスにおける現代市民的共和主義の教育論について、テキストを中心に分析を継続的に進める。 2.市民的共和主義の観点から、投票と「共通善」との関係について分析した研究成果を論文の形にとりまとめ公刊する。 3.当初計画していた英国の研究者の招聘については、両国における新型コロナウイルスの状況を適切に判断して、実施の可否を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響等で、イギリスから研究者の招聘が困難となったため、次年度使用額が生じた。本年度の未執行額については、コロナウイルスの影響がなくなり、イギリスからの研究者の招聘が可能となった場合には、その招聘に使用する計画である。ただし、その招聘が困難になった等の場合には、研究代表者がイギリスに渡航し、イギリスで研究会を開催するか、または、文献調査に切り替えることで執行する計画である。
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Research Products
(4 results)