2020 Fiscal Year Research-status Report
A comparative study of Japan and New Zealand on the school-based autonomy model
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19K02401
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
荒井 文昭 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (40244404)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教育政治 / ニュージーランド / 教育政策 / 学校理事会 / マオリ |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、コロナ禍による調査活動に大きな制約を受けたが、オンラインにより、ニュージーランド・ワイカト大学教育学部のマーティン・スラップ教授を迎えて「学校自治と教育スタンダード」をめぐるシンポジウムを開催した。 このシンポジウムにおいてスラップ教授からは、プライバタイゼーションという視点から、ニュージーランドにおける教育政策動向が報告された。そして、労働党連立政権が設置した検討会議からは、行きすぎた学校間競争を協同に転換させていくために「教育ハブ」という新組織の創設などが2018年の報告書では提言されたが、30年間を通してこれまで拡大してきたプライバタイゼーションを転換させることが容易なことではなくなっていることが指摘された。 またこのシンポジウムでは、ニュージーランド1989年教育法により導入された公選制学校理事会の仕組みは、学校を基礎とした民主主義モデルとして注目すべきものであり、また、この1989年教育法を契機としてマオリ教育運動が活動を広げていき、もう一つの公立学校としてマオリ学校を設立させてもきたことも指摘された。 しかしその反面では、この学校理事会制度が導入されから30年ほど経過した今日、学校間競争が激化し、学校間格差が固定化してきている問題も深刻になってきていることも報告された。さらに、選挙ごとに入れ替わる素人統制に対する、教育専門家からの根深い不信感も続いていることも言及された。 成果は今後、日本教育政策学会の2021年報に掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オンラインシンポの実施により、当初予定していた招へい事業はなんとか代替できた。 しかしコロナ禍により、予定していたニュージーランド現地調査、及び高知県奈半利町立奈半利中学校、都内の私立大東学園高校に関する現地調査などが、いずれも実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も、コロナ禍の影響がつづく限り、国内外での現地訪問調査は実現できそうにないが、再開できる状況になり次第、調査を実施したい。 調査を再開できるまでは、2019年度にニュージーランドで収集した資料に対する分析を中心に研究をすすめ、その成果を学会などで発表する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定していた国内調査、ニュージーランド調査、及びニュージーランド研究者の招へいは、すべて延期、またはオンライン対応せざるを得なくなったため。 今後は、可能な限り延期した調査を実施する。もしも調査が実施できない状況が続いた場合には、これまで収集できた資料の分析に研究の重点を切り替え、そのために必要な条件整備をおこなう予定。
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Research Products
(1 results)