2020 Fiscal Year Research-status Report
The Educational Effect of Social Capital in the Adulthood or Adult and Community Education
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19K02403
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Research Institution | Wakkanai Hokusei Gakuen College |
Principal Investigator |
小林 伸行 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 講師 (60827153)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会関係資本 / 成人期 / 社会教育 / 生涯学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新型コロナウイルスの蔓延が収束しないままとなったため、延期していた残りの予備調査および本調査を実質的に進めることができなかった。しかし、昨年度に実施済みの予備調査を通じて新たに見出されていた追加的課題への対応と、翌年度もコロナ禍が終息しない場合に必要となる調査の項目や対象・地域の再検討および調査手順の再構成に関する、広範な先行研究・論点の整理を進めることで、コロナ禍においてもコロナ禍以前の研究成果を援用するための条件をいくつか見出すことができた。 追加的課題については、先行研究を成人期にも援用するうえで、まず(1)成人期における社会関係の分類・整理と、教育的効果に対してより本質的な影響力を有する関係性の取捨選択が課題として挙げられていたが、ネットーワーク理論などより抽象的な研究分野の知見も踏まえることで、インターネット等を通じて形成・蓄積される社会関係資本も包括し得るような広範な諸関係の一般的検討がし易くなる面があることが確認できた。また、(2)子ども期における教育的効果の指標の一つである教科別の「学力」に相当するような、万人に共通する尺度が成人期には見出しにくい点も課題に挙げられていたが、むしろ「新型コロナウイルスに関する、コロナ禍以降の知識」のように、子ども期に蓄積された学力や学歴などとも一定程度以上に峻別可能な要素に着目できる可能性もあることが確認できた。 先行研究を援用するうえで必要となる調査手順の再構成に関しては、人的交流や施設・サービス利用の減少など社会関係資本に直結するコロナ禍の影響の精査を進めたが、単に対面状況での調査に制約があり、新型コロナウイルス対策を施した調査方法が求められるというだけではなく、社会関係資本に関する前提条件の比較が困難なほどに環境が激変している可能性に留意する必要もあることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
主たる要因は、新型コロナウイルスの蔓延が収束せず、停滞を余儀なくさせる要素が複合的に、長期間にわたって生じたことである。 研究面においては、単に対面状況での調査の実施が大きな制約を受けただけでなく、社会全般において人的交流が途絶えがちになったことで社会関係資本に関する多くの前提条件が先行研究と著しく異なってしまい、比較・検証等の基礎的な研究過程にも支障が生じるなど、極めて広範な影響を受けた。 加えて教育面においても、オンライン授業への対応など例年と比較してかなり多くの時間・労力を割くことが求められた結果、想定以上に研究への間接的影響が大きくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
人的交流や社会関係の様態が激変したコロナ禍の状況だからこそ検証・発見できる知見の抽出や、郵送・インターネット等による非対面状況での調査手法に重点を移すなどの選択肢も視野に入れつつ、必要であれば当初の研究計画を適宜修正ないし一部を更に延期して、より効果的な調査の実施と結果の分析、および最終的な成果報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
主な理由は、新型コロナウイルスの蔓延や派生的な影響の数々によって、当初計画していた調査の大部分を事実上凍結せざるを得なくなったためである。必要に応じて計画を修正・調整したうえで実施する予定の調査のための消耗品費その他の経費として充当する予定である。
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