2022 Fiscal Year Research-status Report
Transformation of paideia in the educational theory of Marsilio Ficino
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19K02405
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 守通 東北大学, 教育学研究科, 名誉教授 (40214407)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 芸術教育 / ルネサンス / プラトニズム / マルシリオ・フィチーノ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、プラトン・アカデミーへの参加を通じてフィチーノのプラトニズムの 影響を強く受けた思想家や芸術家の言説と作品に焦点を当て、フィチーノのプラトニズムが 通俗化され、ルネサンス文化全体に拡散されていった過程を見極めることに努めた。後世に対するフィチーノの影響 は甚大だが、このことは彼の著作からの直接的な影響以上に、プラトン・アカデミーのメンバーたちの多様な作品群を媒介してなされていた。このことは、芸術教育論など教育の分野においても当てはまるであろう。このことを明らかにするために、スペインの人文学者レオン・エブレオの代表作『愛の対話』、およびミケランジェロの詩を研究した。『愛の対話』は、フィチーノによるプラトンの『饗宴』注解及び『パイドロス』仲介を哲学的なベースにしつつも、ペトラルカなどの恋愛詩の伝統も取り入れた、意欲的なラテン語著作であり、本田誠二氏による邦訳もある。ミケランジェロの詩は、プラトン・アカデミーの影響を強く受けており、その影響は文学を超えて絵画と彫刻にまで及んでいる。これらに関する研究の結果、プラトニズムが思想と芸術の世界に拡散していった過程が、最初に想定された以上に広範で複雑なものであることがわかった。 また、これらの思想がルネサンスの芸術教育に大きな影響力を持ったことが明らかになり始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の成果を国際学会で発表し、さまざまな意見交換をする機会がコロナ禍のために奪われたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果を国際学会で発表することを中心に、研究のまとめを行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため海外出張ができなかったため。残った予算は、海外出張で消化する。
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[Presentation] Looking East2022
Author(s)
Kato, Morimichi; Hung, Ruyu; Kwak, Duck-Joo
Organizer
Philosophy of Education Society of Australasia, 50th Conference
Int'l Joint Research / Invited
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