2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K02406
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
坂田 仰 日本女子大学, 教職教育開発センター, 教授 (70287811)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | いじめ防止対策推進法 / いじめ重大事態 / 第三者委員会 / 教員の懲戒処分 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022度に引き続きいじめ重大事態に関わる裁判例の分析といじめ重大事態調査「第三者委員会」の委員経験者に対する聴き取り調査とその分析を進めた。 2023年度は,特にコロナ禍の影響により遅れていたいじめ重大事態調査「第三者委員会」の委員経験者に対する聴き取り調査に力点を置いた。ヒアリング対象者からは,「与えられた権限と比較し,費やす労力と調査結果に対する責任が重すぎる。」という声が複数寄せられた。いじめ重大事態調査「第三者委員会」は,調査に当たって,警察などの捜査機関とは異なって何らの強制力を有していない。たとえ加害とされる児童・生徒であったとしても,要請を行い「任意の協力」を待つしかないのが実情である。当然,調査に対する協力を得るまでに時間を費やすことなるとともに,得られた調査結果には限界が存在している。にもかかわらず,民事訴訟等に調査報告書が証拠として提出されるのみならず,調査報告書を主たる根拠とし,対応に当たった教員を懲戒処分にする例も散見されるようになっていること等がその理由と考えられる。 関係教員の懲戒処分に関わって,水戸地方裁判所判決令和6年1月12日は,調査報告書の記述について否定したり,別の解釈がありうることを示したりし,その信憑性に疑問を投げかけ,懲戒処分の取消を命じている。与えられた権限とのバランスという視点において,いじめ重大事態調査「第三者委員会」の調査結果を関係教員の懲戒処分の根拠として使用することについては慎重な姿勢が求められるべきと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
いじめ重大事態に関わる裁判例の収集,分析については順調に進み,所期の目的を達成したと考えている。 コロナ禍の影響を受けて,教育委員会,学校現場の実態調査の部分に遅れが生じている。2022年度と比較して一定程度の進捗を見たものの,現状,なお生徒指導担当教員,教育委員会等の生徒指導担当者に対するヒアリング調査,アンケート調査に遅れが出ていることがが課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,これまで延期となっている教育委員会の生徒指導担当者と学校現場で実際にいじめ対応を行っている管理職,教員に対するヒアリング調査を優先的に実施し,遅れを回復したいと考えている。 次に,これまで蓄積してきたいじめ問題に関わる裁判例の精査を進め,その類型化をより精緻なものにしていく予定である。 最後に,これら作業を受けて,研究成果の公開に向けて報告書の作成を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
複数年にわたるコロナ禍の影響により現地調査を中心に遅れが生じ,その回復に努めているが,未だ完全に遅れを取り戻すことができていない状況にある。2024年度において,ヒアリング調査を中心とする現地調査の遅れを取り戻し,当初の研究計画を全うしたいと考えている。
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Research Products
(2 results)