2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K02408
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山下 達也 明治大学, 文学部, 専任准教授 (00581208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 光晴 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, フェロー (00583155)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教員養成 / 日韓比較史 / 植民地教育史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の成果は以下の2点に集約できる。 第一は、従来、限定的な範囲内での発達史として捉えられがちであった日本の教員養成史の特徴を日韓比較史という視座から捉えることに成功した点である。 第二に、「戦前」/「戦後」という時間で分けて論じられがちであった教員養成政策に関する理念と制度を両者の連続性にも注目して捉え、「占領期」・「米軍政期」という経験を持つ日韓両国がそれぞれのコンテクストの中で独自の教員養成を行ってきたことを明らかにし、日本の教員養成の特質を浮き彫りにすることができた点である。 なお、本研究の成果は、以下の研究項目に関してそれぞれ得られた。 ① 日本統治期朝鮮における教員養成と同時期の日本における教員養成の特質と相互に及ぼした影響。「戦前」日本の教員養成と朝鮮の教員養成はそれぞれに独自性を持つ理念と制度の下で行われたが、その一方で帝国日本の教員養成と概括することもでき、両者を完全に切り離して捉えることはできないこと、教員養成の制度と理念に関わるそれぞれの特徴と相互に及ぼした影響について日本/朝鮮という地理的な境界を越えて具体的に明らかにした。② 日本における教員養成に関する「戦前」/「戦後」の連続性。日本の教員養成の理念と制度を「戦前」と「戦後」の断絶に帰納させることでは,教員養成に関わる問題も極めて限定的にしか捉えることはできない。そこで、特に敗戦直後および「占領期」の教員養成に関わる政策の決定過程、新制大学での教員養成の開始をめぐる状況に焦点をあて、「戦前」/「戦後」の連続性という観点から日本の教員養成を捉え直した。③ 韓国における教員養成に関する日本統治期/「解放後」の連続性。特に「解放」直後~「米軍政期」の教員養成に関する議論と制度の策定過程に力点を置いた。統治権力が入れ替わり、変容する中で初等教員養成を閉鎖性の下で行うという制度が定着するに至った過程を検討した。
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