2019 Fiscal Year Research-status Report
50年の実績から描くスマート化する製造業の現場力向上へのリカレント工業教育の研究
Project/Area Number |
19K02414
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Research Institution | College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
姉崎 正治 産業技術短期大学, その他部局等, 教授 (00772211)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リカレント工業教育 / 産業技術短期大学 / 現場力育成 / 向上のメカニズム / 社会人学生 / 企業派遣学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の核心的「問い」は、(A)産業界を俯瞰できるリカレント教育における学術の在り方、および(B)産業技術短期大学特有のリカレント教育による『向上のメカニズム』を明らかにすることにある。 第1年度の研究対象を近代的日本鉄鋼業とし、明治維新後の鉄鋼業における現場力育成の歴史的経緯と、戦後その底流の下に創学された本学の企業派遣生に関するリカレント教育の50数年間の経緯を踏まえて、これまでの研究結果を整理した上で研究を推進することにし以下の成果を得た。 (1)短産業技術短期学誌論文投稿;2件、(2)大阪大学「産業と技術」誌投稿;1件、(3)日本金属学会2020春期第166回講演大会発表;2件、(4)鉄鋼関連企業、機関訪問調査;13社2機関、(5)第1期アンケート;同窓会全体1件、和歌山製鉄所同窓会1件、直近(平成23年度~35年度)の卒業生を対象とした就職先評価調査1件、年次別卒業生(2018年度、2019年度)の産業技術短期大学入学、勉学、就職後における自己評価2件 次に研究の推進と管理を目的に、(A)科研費研究会(研究代表者+研究協力者3名他)を年2回開催(令和1年5月15日、令和1年11月7日)、(B)研究アルバイトの活用;令和2年2月14日、協力可能な能力を有する研究サポーター2名を指名契約し、研究課題推進のアルバイターとした。今後も適時採用して研究申請の核心に迫る。 核心的「問い」に関しては、(a)リカレント教育の在り方の先進的検討に入った;月刊雑誌『先端教育』(2019年11月創刊)の購読と整理を始めた。(b)『向上のメカニズム』究明の取り組みを具体化;同窓会員の作文募集と第2期目のアンケート構想の検討に入った。(c)新しい研究課題の選択;①外国人労働者の受け入れやリカレント教育の在り方の検討、②工業高専との差別化による本鉄鋼学園の個性的特徴の抽出。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
政府は2018年をリカレント元年とした。また、2019年4月の『働き方改革』の具体化により、これまでの労働慣行(定期採用、終身雇用、年功序列等)が大きく変わろうとしており、今日では、これからの人生100年時代は個人として生涯現役を目指すという自主的ベクトルが共通認識されつつあるといえる。一方産業界はAI化やIoTを活用する技術が主流となってきたことで、リカレント教育の必要性はますます高まると共に、基盤学術の内容も急速に変化しつつある。 本研究では当初の研究計画時点から、このような周辺事情の急速な変化に対応すべく研究の方向と方法を検討・進化させてきた。その中で、第1年度の予定研究の進捗を図りつつ、新しい方向の研究を構想し以下のような準備に入った。具体的には、3-1.で記述した革新的「問い」への取り組み内容の整理と環境変化への対策を討議した。また、リカレント教育の先進地域である欧州、特にスエーデンとドイツについて日本との違いを討究する中から、日本独自の革新的な取り組み案を論究することにした。これらの研究結果として、学校法人鉄鋼学園(産業技術短期大学+人材開発センター)における『リカレント工業教育』の未来像を描き、2年度以降の研究推進のベクトルとした。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)研究論文作成と大学誌等への投稿および学会報告;①近代鉄鋼業における現場力育成の歴史(第2報;戦後編)、②産業技術短期大学の創設以来の教育方針、カリキュラム編成、学科毎の履修計画等の歴史的考察、③戦前の「技手」、「工手」の変容と現代的意義の考察、③上記各論文の学界発表;日本金属学会、日本工業教育協会等々 (2)『向上のメカニズム』の解明;①同窓会と就職先企業の両面からの評価アンケート、②同窓会員のリカレント効果の自己評価(人生という観点での産業技術短期大学でのリカレント教育の意義)に関する作文募集、③工業高専や工業高校等との比較検討 (3)リカレント先進国に関する研究;スエーデン、ドイツ等と日本の比較検討および日本独自のリカレント工業教育の在り方の討究 (4)Ed-Techによる人材育成の検討;第1段階として、研究会のテレワーク化や現場力育成の今後の変化を取り入れた人材開発センターにおけるオンライン研修事業への応用を議論する。 (5) 鉄鋼学園の近未来像に関連する注目事項の検討;①外国人労働者の受け入れ教育と技術教育の可能性の検討、②日本の先端教育の実情と鉄鋼学園の近未来における適応性の討究
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Causes of Carryover |
平成1年度の物品費の内訳は、申請予定項目に対して242,422円であった。一方、新しいパソコンの購入の必要から、245,000円を支出した。本件に関して、使用中のパソコンは、大阪大学に勤務中からの借用品であり、古いタイプでありかつ返却の必要が出たため、急遽新しくパソコンを購入することになった。本件に関しては、事前に所属する研究機関の了解を得て実施した。その他の予定の件と合わせて、最終年度に調整することにしている。
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