2019 Fiscal Year Research-status Report
現代政治教育とナチス期無名市民のマイノリティ救援-包摂・協働・自律-
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19K02419
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡 典子 筑波大学, 人間系, 教授 (20315021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 孝夫 岩手大学, 教育学部, 教授 (70211779)
對馬 達雄 秋田大学, 名誉教授, 名誉教授 (90004118)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナチス期ドイツ / 無名市民 / マイノリティ救援 / 社会包摂 / 自律 / 政治教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代ドイツの青少年教育において、「ナチス期の無名市民」が重要な位置にあるのはなぜなのか。 初年度にあたる2019年度はまず、本研究の根幹であるこの問いに迫ることから着手した。年度当初に研究会を実施し、本研究の理論的基盤と今後の研究遂行の手続きについて認識を共有した。その後、8月に2度目の研究会を行い、相互に研究の進捗状況を確認した後、9月には、教育史学会第63回大会(2019.9.28-9.29 於静岡大学)において研究代表者・分担者の3名全員でコロキウム「ドイツ現代史と人間」を開催し、本科研の意義について周知した。コロキウムでは、とくに国内外の若手研究者との意見交換を実現できたことで、次年度以降の展開に結び付く新たな着想が得られた。なお、当日の概要は以下の通りである。 對馬達雄「研究成果が(国家の)歴史政策を変えたという稀有の事態を伝えること」/遠藤孝夫「反ナチの教育者エリザベート・クラインとナチズム体制下を生きたヴァルドルフ学校の関係者」/岡 典子「ナチス期無名市民のユダヤ人救援活動と現代学校教育における意義」 また、ドイツでの最新の研究成果、各種の一次資料に加え、「ナチス期無名市民」を掲載する各種の学校教材を精力的に収集し、情報分析に着手した。2019年度はとくに、現代学校教育が直面する諸課題と「ナチス期無名市民」とがいかなる関連をもって理解・解釈されているかに焦点をあてて検討した。 なお、研究成果の一部を公表する手段として、すでに2冊の書籍の刊行が確定しているが、これらについていずれも2019年度中に原稿の作成をほぼ完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会コロキウムを通じて、本研究がもつ学術的・社会的意義について公表することができた。さらに、研究成果を広く社会に還元する手段である書籍刊行についても、おおむね準備を完了することができた。 なお、2019年度に予定していたドイツでの実地調査については、日程の調整がつかず実施できなかったが、代わりに当初は2020年度以降に計画していた資料調査の一部を前倒しして実施した。これにより、研究全体としては概ね遅延なく、順調に進展してきている。 また、一次資料等の分析作業も順調に進んでおり、2019年度に入手した資料・情報については年度末までにおよそ8割程度のデータ整理を終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調に推移しているので、引き続き当初の計画どおりに進めたいと考えている。なお、2019年度に実施できなかった現地調査については、新型コロナウィルス蔓延の状況を見ながらではあるが、現地の研究協力者の助力も得ながら可能な限り2020年度末までに行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
年度当初の時点では、研究者3名のうち2名が海外での調査を予定していたが、公務等との日程調整がつかず、実現できなかった。そのため2019年度の研究計画については一部、2020年度に予定していた内容と入れ替えて研究を実施した。次年度使用額については、新型コロナウィルスにかかる今般の社会状況も勘案しながら、可能であれば調査旅費として使用したい。また、渡航調査が困難となった場合には、さらに資料調査を先行させるため、主として資料購入費にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)