2021 Fiscal Year Research-status Report
米国の学士課程における教育学主専攻廃止過程と教員養成ガバナンス変容に関する研究
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19K02420
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
小野瀬 善行 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (50457735)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教員資格認定制度 / アメリカ合衆国 / 高等教育改革 / 多様な教職ルート |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、本研究の成果を基に、日本教師教育学会第32回大会(於:筑波大学 オンライン開催)の課題研究Ⅲにおいて、「アメリカ合衆国における多様な教職ルートの現状と課題」と題し発表を行った。具体的には、「教員不足」というキーワードに着目し、多様なルートの整備が、いかなる種類や次元の「不足」に対応するものであったのかという視点から報告を行った。本報告は、フィンランド、中国、ドイツとの比較という企画であったことも付記しておきたい。 アメリカ合衆国(以下アメリカ)では、1980年代以降、大学等において優秀な成績を収めた人材が教職に就かないという「質」的な面、理数系の特定の科目において正規の教員資格認定を受けた教員がいない、あるいは児童生徒の人種的な多様性に教職のそれが対応していない(人種的マイノリティが教職に就いていない)という「量」的な面、この双方における「不足」が政策的な課題とされてきた。このような「不足」への対応として多様な教職ルートが整備されてきたことを確認した。あわせて、アメリカでは、学校区ごとの経済的格差を背景に、大学院レベルの教育を受け資格認定を受けた教員が経済的に裕福な学校区に偏在してしまうという現状について報告した。さらに、本研究の主な主題である、学士課程の改革についても多様な教職ルートの整備と関連づけて報告を行った。 現状、アメリカでは未だ質及び量の両面において「教員不足」が政策課題として認識され、多様なルートの整備が推し進められている。このことが教職の専門性に及ぼす影響についてさらに他国などの状況も合わせて検討を進めていきたいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス(COVID-19)の影響もあり、2021年度も予定していた調査(渡米しての現地調査、一次資料の収集、当事者へのインタビュー)を行うことを見送らざるを得なかった。またポストコロナ時代の動向を見据え、どのような人材が教職を目指すようになったのかについて新たに分析をする必要があるのではないかと研究計画面における修正の必要性について検討を始めたことも研究計画の遅れに通じていると分析している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、本研究の最終年度として、成果のまとめを行う予定であった。しかし、上述のように研究計画に遅れがあり、研究予算の適正な執行ができないと判断したため、研究期間の延長を申請したところである。 期間延長の最終年度となる2022年度は、新型コロナウイルスの影響を見極めながら、学士課程における教育学主専攻の廃止を法律で定めた州を事例として、一次資料の収集、当時の関係者へのインタビュー調査等も行っていきたい。 また、できる限り、本研究の成果を自らの所属する専門学会大会などにおいて発表し、他研究者と研究交流を盛んにしながら、研究の遂行を目指したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、予定していた調査を見送らざるを得ず、予算執行が適正にできなかったため。次年度においては、従来までの計画に基づき、資料収集や旅費として助成金を使用する計画である。
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Research Products
(2 results)