2020 Fiscal Year Research-status Report
A Comprehensive Study of the Educational Thought of Erasmus
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19K02434
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
大川 洋 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (70247203)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エラスムス / 理性 / コメニウス |
Outline of Annual Research Achievements |
「エラスムスにおける理性と教育」という研究論文を作成し、日本キリスト教教育学会編集発行の『キリスト教教育論集』第29号(2021年3月発行)に投稿し、査読の結果、研究論文として掲載された(論文pp.1-13、邦文摘要p.96、英文摘要p.97)。この論文は、エラスムスにおける理性概念を、神、情念、平和、教育の角度から分析し、明らかにしたものである。エラスムスは、「ヨハネによる福音書」冒頭句のロゴス(Logos)の訳語に苦心し、「語り」(Sermo)と「理性」(Ratio)に着目したが、このことがエラスムスの教育思想に大きな影響を与えたことを論文を通して明らかにすることができた。エラスムスは、神学的概念をほとんど用いずに教育論を展開することができたが、エラスムスが『子どもの教育について』(De pueris instituendis, 1529)の中で強調した「理性」という概念そのものの中に深いキリスト教的な意味があることを示すことができた。 副次的な研究成果としては、深谷潤・広岡義之編著『教育の原理』(ミネルヴァ書房、2021年4月)の第8章「教育思想の転換の始まり」(pp.106-120)を執筆した。これは、中世から17世紀のコメニウスまでの思想の流れを叙述する中で、エラスムスの教育思想を歴史的に位置づけたものである。 現在進行中の研究としては、コメニウスがエラスムスの『学習の方法について』(De ratione studii, 1512)を出版し、その本の序文を書いていることに着目して、「コメニウスの教育思想に与えたエラスムスの影響」について、論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画においては、トロント大学宗教改革ルネサンス研究所やロンドン大学ウォーバーグ研究所で文献探索を行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、いずれの研究所も閉鎖されてしまい、海外に渡航することができなかった。仕方なく、日本国内でできる研究を遂行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画においては、トロント大学宗教改革ルネサンス研究所やロンドン大学ウォーバーグ研究所で文献探索を行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、海外渡航ができるかどうか、見通しが立たない状況である。そのため、当面は日本国内でできる研究を遂行し、海外渡航の機会を窺っている状況である。海外渡航を断念せざるを得ない場合には、書籍の購入を増やす予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、トロント大学宗教改革ルネサンス研究所やロンドン大学ウォーバーグ研究所等で文献探索を行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、いずれの研究所も閉鎖されてしまい、海外渡航を断念せざるを得なかった。そのため、旅費に当てる部分の研究費が未消化に終わり、次年度に繰り越すこととなった。今年度は、海外渡航ができるかどうか、機会を窺っているところであるが、断念せざるを得ない場合には、書籍の購入を増やす予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Book] 教育の原理2021
Author(s)
大川 洋
Total Pages
15
Publisher
ミネルヴァ書房
ISBN
978-4-623-08955-0