2023 Fiscal Year Research-status Report
A Comprehensive Study of the Educational Thought of Erasmus
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19K02434
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
大川 洋 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (70247203)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エラスムス / コメニウス / ルネサンス / 自然概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
「コメニウスの教育思想に与えたエラスムスの影響」という研究論文を作成し、日本キリスト教教育学会の学会誌『キリスト教教育論集』に投稿し、論文として掲載された(『キリスト教教育論集』第32号、2024年3月)。この論文は、コメニウスがエラスムスの『学習の方法について』(1512)を1652年に出版し、それに序文を書いていることをわが国で初めて指摘したものである。ところで、教育思想史において、一般に「子どもの発見者」と言われているのは、ルソーであり、その著『エミール』(1762)は、自然の歩みに沿った人間の発達の在り方を描き出したことにより、「子ども発見の書」と言われている。しかし、自然の法則に従っての教育を追求したのは、ルソーが初めてではなかった。例えば、コメニウスは、その著『大教授学』(1657)の中で、「私たちの考え方はいつも、どんな場合でも自然という案内者につき従い、自然がその力をつぎつぎに表に出してくるに応じて、その力を推し進めるように心がける、というところにある」(第27章)と記している。このことから、コメニウスに大きな影響を与えたエラスムスの自然概念が注目されることから、「エラスムスの自然概念とキリスト教」というテーマで研究を進めた。その成果の一部は、日本キリスト教教育学会の第36回学会大会(2024年6月1日、同志社大学今出川キャンパス)で発表する予定であるが、さらに研究を深めるため、2024年7月にトロント大学ルネサンス宗教改革研究所(Centre for Renaissance and Reformation Studies)とトロント大学図書館(Robarts Library)で文献探索・収集を行う計画を立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本キリスト教教育学会の学会誌『キリスト教教育論集』に2本の研究論文を掲載することができた(大川洋「エラスムスにおける理性と教育」、『キリスト教教育論集』第29号、2021年3月、および大川洋「コメニウスの教育思想に与えたエラスムスの影響」、『キリスト教教育論集』第32号、2024年3月)という点では一定の成果をあげたと言えるが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて海外での文献探索・収集は、今のところ2019年8月の1回だけにとどまっている。しかし、2回目を2024年7月に計画することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「エラスムスの自然概念とキリスト教」というテーマで研究を進める。2024年6月1日に同志社大学今出川キャンパスで開催される日本キリスト教教育学会第36回学会大会で「エラスムスにおける自然概念とキリスト教」というタイトルで学会発表をする。2024年7月には、トロント大学ルネサンス宗教改革研究所(Centre for Renaissance and Reformation Studies)とトロント大学図書館(Robarts Library)で文献探索・収集を行う。そして、2024年度中に「エラスムスの自然概念とキリスト教」というタイトルで研究論文を作成する。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、研究費の多くの部分は海外での文献探索・収集にあてられていたが、新型コロナウイルスの感染拡大により海外への渡航が難しくなり、海外での文献探索・収集は2019年度に1回行っただけにとどまってしまった。ようやく感染状況が改善してきたため、2024年7月にはトロント大学ルネサンス・宗教改革研究所(Centre for Renaissance and Reformation Studies)とトロント大学図書館(Robarts Library)で文献探索・収集を行うことを計画している。
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