戦時期日本における翼賛文化運動に関する研究

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K02439
• Research Institution: Matsumoto University
• Principal Investigator: 大蔵 真由美 松本大学, 教育学部, 准教授 (60783438)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 農村文化運動 / 地方文化運動 / 翼賛運動 / 総力戦体制

Outline of Annual Research Achievements

2021年度は千葉県における戦時期地方文化運動の実態に関する研究成果の公開が完了し、それを踏まえて戦時期及び戦後初期の地方文化運動についての資料整理及び分析を進めた。公開した成果は次の通りである。地方文化人らが担い手となった地方文化運動は大政翼賛会文化部や地域の諸団体とのどのような緊張関係のなかで進展したのかという課題について分析を行った。戦時期において千葉県安房郡で展開された鴨川文化協会を取り上げ、その活動の実態を明らかにした。分析の結果、大政翼賛会文化部の地方への働きかけが開始するより以前から当地の文化人らが地方文化協会の結成に向けて動いており、かつ結成の過程において団体の側から自発的に大政翼賛会文化部と連絡を取ったことが明らかになった。つまり、この団体は国家の直接的な指導によって結成されたのではなかった。行政や学校、様々な文化団体との結びつきのなかで活動が形になっていったということが分かった。団体が企画した活動の内容は芸術文化の様々な分野にわたっていた。このような活動は戦時期においてどのように展開したのかということについて引き続きの分析を行うとともに、戦後にどのように接続したのかについても分析を行っている。加えて、ほかの地域での事例についての資料の収集に着手した。
また上記に加えてThe 11th International Conference on Cultural Policy Research (ICCPR 2020)に参加して文化政策の歴史研究に関する国際的な研究動向についての情報収集を行った。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

これまでに研究対象としてきた千葉県とは異なる地域における農村文化運動及び地方文化運動はどのように進展したのかという研究課題に関する資料の収集がコロナ禍の影響により、当初計画より遅れている。デジタルアーカイブなどの利用に努めているが、地域資料は現地に行って収集することなしに十分に集めることができなかった。今年度はこれまでに収集できている資料の分析を進めることが中心となったが論理分析を十分に進めるまでには不十分であった。

Strategy for Future Research Activity

2022年度は別の地域における地方文化運動に関する資料の収集と論理分析を進める。資料収集をなるべく早い時期に終え、並行して史料整理及び論理分析を行っていく。今年度及び次年度での研究成果の発表を目指す。岩手県での調査を予定しているが、研究計画の見直しも含めさらに別の地域での資料の所在の確認も進める。

Causes of Carryover

国際学会への参加のために計上していた予算をオンライン学会へと変更になったために使用する必要がなくなった。しかしながら、データ分析に必要なPCの機器や資料整理用の備品の購入などの研究環境整備を進めており、次年度も引き続き行っていく予定である。加えてこれまでに実施できていない資料調査を実施することが次年度必要となるため、次年度使用額をこちらにもあてていく予定である。