2020 Fiscal Year Research-status Report
道徳教育における評価の問題―「社会情動的学習」に着目して―
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19K02440
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
田中 耕治 佛教大学, 教育学部, 教授 (10135494)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 道徳教育 / 教育評価 / SEL / 指導要録 / 学籍簿 / 通知表 / 操行査定 / 修身科 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度においては、世界レベルのコロナ禍によって、当初予定していた研究計画を大幅に変更する必要が生じた。とりわけ、本研究においては、米国の小学校現場におけるSEL(Social Emotional Learning)の実践状況を直接に現地スタッフにインタビューする計画が、渡航困難となり、頓挫することになった。そこで、次善の策として、現地スタッフとメール会議を行い、必要な資料や情報の交換を行うことにした。 このような状況の中で、本科研テーマを深めるために、日本における「道徳教育評価」の歴史を探るべく、明治期から昭和戦前期までに発出された「学籍簿」を対象として分析を行った。その成果は、「<研究ノート>道徳教育における評価の問題-学籍簿に着目して―」『佛教大学教育学部論集』第32号、2021 年3月としてまとめた。とりわけ、戦前期に発出された七回の全学籍簿の原本を資料として掲載したことは、今後の日本の教育評価史研究に資することになるものと自負している。 そこでは、「修身科」と「操行査定」との拮抗関係からもわかるように、とりわけ道徳教育における評価対象として、認知的要素と情意的実践的要素をいかに統一して理解するのかについては、さらにはいかなる評価方法を採用するのかについては、難問とは言え未解決な課題として残された。この課題は、今後米国におけるSELを分析する際の方法論となるものと思われる。 科研最終年度に作成予定の最終報告書では、学籍簿と指導要録に現れた道徳教育評価のあり方について論述したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度においては、世界レベルのコロナ禍によって、当初予定していた研究計画を大幅に変更する必要が生じた。とりわけ、本研究においては、米国の小学校現場におけるSEL(Social Emotional Learning)の実践状況を直接に現地スタッフにインタビューする計画が、渡航困難となり、実現できなかった。その次善の策として、現地スタッフとメール会議を行い、必要な資料や情報の交換を行うことにした。SELに基づいて、トランプ大統領のもとで進行した人種差別問題をテーマとした実践事例の報告と資料を入手して、メール会議において、意見交換を行った。また、SELに関する基礎文献やアメリカにおける道徳教育論に関する文献を収集して、分析を加えた。 2021年度の科研最終年度においては、コロナ禍の状況を勘案しつつ、出来るだけ現地スタッフとの交流を深め、そのSELの全体像を把握するために努めたいと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
科研最終年度にあたる2021年度において、最終報告書を以下のプロットで作成したいと計画している。<1>日本における道徳教育評価の現状とSELの取り組み<2>アメリカにおける道徳教育とSELの取り組み<3>サンフランシスコの小学校におけるSEL実践(とりわけ、人種差別問題をテーマとする人権教育の取り組み)の紹介<4>サンフランシスコの小学校におけるSEL実践が日本に示唆する点<5>現代アメリカにおけるSELの現状と課題 直接に現地スタッフとの交流が困難な場合には、Zoom機能を活かして、可能な限り意思疎通を密にした取り組みを行うことによって、最終報告書をまとめたいと考えている。
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Causes of Carryover |
世界的なコロナ禍により、当初予定していた米国のスタッフとの学術交流が頓挫したため、次年度使用額が生じた。次年度使用額と翌年度分として請求した助成金を合わせて、最終報告書の作成に使用したいと考えている。
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Research Products
(2 results)