2020 Fiscal Year Research-status Report
Theory of High School Reform: Formation and Development of the High Tech High in the United States
Project/Area Number |
19K02448
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 悠太 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (20725246)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 高等学校改革 / 学校改革 / 高等学校改革の理論 / 教師の専門性開発 / ハイ・テック・ハイ / 活動の理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2000年に開校し現在は世界規模の高等学校改革のネットワークの中心となっている、カリフォルニア州サンディエゴ市ハイ・テック・ハイ(High Tech High)の形成と展開を跡づけることを通して、現代アメリカにおける高等学校改革の理論を解明することを目的とする。ハイ・テック・ハイは、2021年5月現在、6つの高等学校に加え、5つの中学校、5つの小学校と1つの教育学大学院(High Tech High Graduate School of Education)を有する学校開発組織である。 本研究の独自性は、ハイ・テック・ハイの形成と展開に学校改革の理論を見出すことにある。特に1980年代から展開した「エッセンシャル・スクール連盟(Coalition of Essential Schools)」に代表される〈学校での学び〉を中核に据える学校改革の理論と、1990年代に展開した全米の調査研究「新しい都市型高等学校(New Urban High School)」を契機とする〈現実世界での仕事〉を中心とする学校改革の理論との融合と発展を見出すという問題設定にある。 2020年度は本研究が設定した次の時期区分を主な対象とする研究を進めた。それは、1999年からハイ・テック・ハイの開校1年目である2001年までを第2期とする時期区分である。開校に向けた直接的かつ多角的な交渉が展開した時期である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
第Ⅱ期は1999年からハイ・テック・ハイの開校1年目である2001年までとした。開校に向けた直接的かつ多角的な交渉が展開した時期であった。本研究が独自に設定した着眼点③は、ハイ・テック・ハイの高等学校改革の初期の理論を解明することにあった。特に、開校の現実的な条件作成にあたり、ハイ・テック・ハイが生徒の「多様性」を堅持し教育の「公共性」を擁護するために、学校改革の第一の「デザイン原理」として「公平性」を掲げていることが注目された。これは、1990年代に「エッセンシャル・スクール連盟」が最後に付け加えた学校改革の「共通原理」である「民主主義と公平性」との連続性を指摘することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度の計画は以下の通りである。 本研究の独自の時期区分である、第Ⅲ期は、2001年からハイ・テック・ハイ教育学大学院(Graduate School of Education)の開設が認められた2006年までである(修士号取得者の累計は2017年度までに138人)。 着眼点④は、このハイ・テック・ハイ教育学大学院の理論の解明である。ハイ・テック・ハイ教育学大学院は、ハイ・テック・ハイがハイ・テック・ハイの現場のために蓄積してきた教師の「専門性開発(professional development)」の実践と理論を基礎としている。すなわち、ハイ・テック・ハイ教育学大学院は、ハイ・テック・ハイの学校改革の理論と連動した新しい教師教育の舞台なのである。
|
Causes of Carryover |
Covid-19により国際学会発表の旅費が使用されなかったため。2021年度において国際学会発表が可能となった場合にはその旅費に、それが依然として叶わない場合には学術書購入等に適切に充てる。
|