2021 Fiscal Year Research-status Report
「社会的包摂」に寄与する社会教育の発展に向けた成人教育学の構築に関する基礎的研究
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19K02450
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
渋江 かさね 静岡大学, 教育学部, 准教授 (10377707)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会的包摂 / 社会教育実践 / 誰一人として取り残さない / 学びあい / 学びを通して社会とつながる |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「社会的包摂」に寄与する社会教育の発展に向けた成人教育学の構築をめざし、アンドラゴジーとりわけマルカム・ノールズが発展させたものについて、どこに可能性があり、どこに限界があるかを、国内外の先行研究および国内の事例の整理と分析を通して明らかにすることである。 2021年度は、「社会的包摂」に寄与する成人を対象とした社会教育実践事例に関し、公開された刊行物に見られるものの収集に向けての作業に取り組んだ。まず、刊行物を収集する際の基準を明確にするために、中央教育審議会および関連する会議体が公表した近年の文書で、社会的包摂への「寄与」や「実現」にかかわって社会教育の在り方や役割が、どのように論じられているかを整理し明らかにすることをおこなった。具体的な在り方や役割としては、①社会的に弱い立場にいる人々に対する学びの保障と、彼らが学びを通して社会とつながれるよう、社会に参画できるようにすること、②多様な人々が共に学び合う場を提供することを通して、相互に理解し合い共生できる環境を作ること、③地域の人たちが社会的に弱い立場の人たちが抱える課題に関心をもち問題を解決していくための学習機会を拡充することが示されているとわかった。つぎに、こうした結果も考慮しながら、『月刊社会教育』『月刊公民館』及び著作等に掲載されている、近年の社会教育実践事例の収集を進めることができた。しかし、社会的包摂への「寄与」や「実現」にかかわっての社会教育の在り方や役割が、国の教育政策で述べられるようになる以前から取り組まれていた社会教育実践事例に関し、収集の基準をどのようにするかという点に課題が残った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
社会教育実践事例の収集に関し、社会的包摂への「寄与」や「実現」にかかわっての社会教育の在り方や役割が、国の教育政策で述べられるようになる以前から取り組まれていた事例については、そうした事例が掲載されている雑誌を所蔵する大学図書館に出向き、内容を読みつつ収集を進めることを検討していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、資料収集に出向くことが難しくなる状況が生じた。その結果、当初予定していた「社会的包摂」に寄与する成人教育学を構想する上で、その要素となるものを抽出する作業まで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の事業期間を、次年度に延長することになった。そこで次年度については、社会的包摂への「寄与」や「実現」にかかわっての社会教育の在り方や役割が、国の教育政策で述べられるようになる以前から取り組まれていた、「社会的包摂」に寄与する成人を対象とした社会教育実践事例の収集の基準を明確にする作業に、まず着手する。その作業結果に即して、事例を雑誌等から収集し分析することをおこなっていく。その上で、「社会的包摂」に寄与する成人教育学を構想する上で、その要素となるものが抽出できるようにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症に伴い、予定していた学会が対面で開催されなくなり、旅費の使用がなかった。また、資料収集に出かける予定をしていたが、新型コロナウイルス感染症により出かけることが難しくなった。今年度に関しては、前年度ほど新型コロナウイルス感染症の状況が深刻ではないため、主に資料収集の旅費にあてることにする。
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Research Products
(1 results)