2020 Fiscal Year Research-status Report
イエナ・プランにおける「混合」を用いたインクルーシブ教育に関する研究
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19K02458
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
佐久間 裕之 玉川大学, 教育学部, 教授 (70235208)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イエナ・プラン / ペーター・ペーターゼン / インクルーシブ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インクルーシブ教育の先駆的取り組みの一つであるイエナ・プランに着目し、その鍵となる「混合(ミッシュング)」の要因を調べ、それを日本におけるインクルーシブ教育システムの充実へと効果的に応用するための基盤づくりを目指している。本研究は、文献・資料の研究とドイツ等のイエナ・プラン校の現地調査とから構成されている。2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、現地調査を行うことができなかった。文献・資料のみの研究となったが、混合(ミッシュング)によるグループ編成が内包する諸要因(異なる年齢・階層・能力・性)を取り上げて考察した。このことからイエナ・プランにおける混合(ミッシュング)の特徴が次のとおり3点明らかになった。まず1点目として、混合(ミッシュング)はインクルージョンの2類型である「プロセスとしてのインクルージョン」と「フル・インクルージョン」のうち、後者の「フル・インクルージョン」に分類できる。2点目として明らかになったのは、インクルーシブ教育の3類型(単線型アプローチ、多重路線型アプローチ、二路線型アプローチ)」のうち、混合(ミッシュング)は「単線型アプローチ」に属していることである。最後に3点目は「サラマンカ声明」におけるインクルージョン(包摂)との比較において明らかになった。「サラマンカ声明」におけるインクルージョンとイエナ・プランにおける混合(ミッシュング)には親和性であり、両者ともに多様性社会の実現に向かう思想・実践という点で共通性があった。ただし、同質性と異質性のいずれが基軸かという点で、両者には違いも見られた。この違いをどのように理解するか。この問題については今後さらに検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に示したように、2020年度においては当初予定していたドイツ現地のイエナ・プラン実施校におけるインクルーシブ教育に関する情報・資料収集が新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により実施できなかった。よって専ら手持ちの文献・資料での研究に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の感染状況を見据えつつ、ドイツ等への渡航が可能になる場合には、文献・資料の研究に加えて、現地調査を再開する予定である。しかし、渡航が不可能または著しく困難な状況が続く場合には、今後の研究計画について修正を行いつつ、当初の研究目的の達成へと近づけるべく善処する所存である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、予定していた海外調査がすべて取りやめとなったため、旅費の執行がなされなかった。2021年度以降において状況が改善されれば、海外調査を再開する。
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