2021 Fiscal Year Research-status Report
教育実践へのリフレクションを通じた教師・保育者の継続的な学びのあり方に関する研究
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19K02463
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
村井 尚子 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (90411454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 哲人 大妻女子大学, 家政学部, 講師 (70571884)
阿部 直美 京都女子大学, 教職支援センター, 特任教授 (00411455)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リフレクション / 教師・保育者の専門性 / 教育的タクト / ヴァン=マーネン / コルトハーヘン / 教育実習のリフレクション / 保育観の変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学の教員養成の現場において、教育実習の事前事後指導や教職実践演習の授業、大学院の講義などを通じて、教師を目指す学生のリフレクションを促し、実践を省察する力を付けていく試みを行った。また、保育現場に関しては、山梨県甲府市のかほるこども園および世田谷区のかほる保育園に年間を通じて数度訪問してフィールドワークを行い、さらに園長はじめ保育士の先生方の研修に参加した。また、7月27日に大津市の星の子こども園にてリフレクションの研修を実施、11月6日には中堅保育者の研究会を大阪で実施した。卒業後5年目の保育者、小学校教師10名を対象にして、教育・保育実践のリフレクションを行った。また、研究協力園となっていただいている5つの保育園とは、2022年3月13日、14日の2日間を通じて、井桁容子先生をお呼びして、園でのリフレクションを通じた人材育成について話し合った。本研究会はオンラインと対面のハイブリッドにて実施し、園長をはじめ、各園のリフレクションリーダーの先生方と話し合いを重ねることができた。 これらの研究成果の一部を学会で発表。大学の紀要にて発表した。学会に関しては、関西教育学会第73回大会公開シンポジウムにて「 reflection(省察)再考」について発表、また「リフレクションによるあるべき子ども像の問い直し」日本乳幼児教育学会第31回大会、「日々のリフレクションを通じた保育の質の向上」日本保育学会第74回大会を発表した。 論文は「教育実習のリフレクションの意義の実証的検証」「保育実践のリフレクションの意義に関する一考察―保育観の問い直しー」をそれぞれ紀要に投稿した。 本研究の理論的な部分の一部をまとめた単著『教育的な思慮深さとタクトの涵養の可能性―ヴァン=マーネンの教育学をてがかりに』をナカニシヤ出版より2022年5月に出版予定である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症禍にあって、保育現場におけるフィールドワークが十分に行えなかった。まん延防止等重点措置、緊急事態宣言が出されていた時期は大学から出張の自粛が求められていたため、新潟県佐渡市、山梨県甲府市、東京都世田谷区、滋賀県大津市の研究協力園にフィールドワーク及びインタビューに伺うことが難しかった。オンラインでの研究会やインタビューなどは実施していたが、現場の保育の様子や子どもの様子を参与観察することによって研究成果を検証する機会がほとんど持てなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、保育現場に赴き、保育士の先生方のリフレクションの内容と実際の保育の様子、子どもたちの様子を参与観察する機会をもちたい。それによって、リフレクションがどのように保育者の子ども観、保育観の変容に影響を与え、その影響が子どもの姿にどのような変化をきたしているかを観察やインタビューによって検証していくことをめざしたい。また、保育者の先生方が記入されたリフレクションシートの分析結果を基に園長や主任のインタビューを行うことで、リフレクションが保育者の育ちにどのように関与しうるのかを検証していきたい。さらに、リフレクションに関するアンケート調査を行い、定量的な調査も行っていく。 理論面に関しては、身体感覚のリフレクションの意味についての考察はある程度明らかにすることができたので、今年度は「アフォーダンス」「場への感受性」について現象学のみならず、他の分野での研究を参照しながら探究していく予定である。
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Causes of Carryover |
2021年6月にニューヨークで開催される予定であった国際学会で研究成果の一部を発表することを予定していたが、新型コロナウイルス感染症禍によって2022年6月に延期となった。また、新潟県佐渡市、山梨県甲府市などの保育園へのフィールドワークが新型コロナウイルス感染症禍によって実施困難であったため、次年度使用額が生じた。これらの予定を2022年度に組み入れ、実施することで予算を使用させていただきたい。
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Research Products
(5 results)