2022 Fiscal Year Annual Research Report
教育実践へのリフレクションを通じた教師・保育者の継続的な学びのあり方に関する研究
Project/Area Number |
19K02463
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
村井 尚子 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (90411454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 哲人 大妻女子大学, 家政学部, 講師 (70571884)
阿部 直美 京都女子大学, 教職支援センター, 特任教授 (00411455)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リフレクション / 保育者の専門性 / 保育者の成長 / 行為と感情の関係性 / 現象学的記述 / コルトハーヘン / マックス・ヴァン=マーネン / 8つの窓 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ヴァン=マーネンの現象学的教育学における教育的タクトの涵養の可能性の探究、2)リフレクション(省察)の原理的検討、3)リフレクションによって教育的タクトおよび教師・保育者の専門性がいかに向上するかの実証的検証の大きく3つに分けて実施してきた。 1)に関しては、ナカニシヤ出版から『ヴァン=マーネンの教育学』を上梓し、オランダに生まれてカナダで活躍している現象学的教育学者マックス・ヴァン=マーネンの教育学の成り立ちとその本質について扱ったのち、教育学において長年重視されつつもその涵養可能性が明らかになっていなかった教育的タクトについて原理的に検討し、その涵養の筋道を理論的・実践的に検証した。 2)については、メルロ・ポンティの身体論を皮切りに、脳科学者アントニオ・ダマシオや美学者伊藤亜紗らの理論を援用しながら、思考的な取り組みとしてのリフレクション行為がいかに身体化し、実践における無意識の行為として発現するのかを明らかにする試みを行なった。本研究においては、行為と感情の関係性という観点から一定程度その試行は成功していると考えられる。 3)については、保育所や小学校の現場に赴き、コルトハーヘンの8つの窓を用いたリフレクションの実践を継続していただく実証的な検証を実施した。8つの窓を用いたリフレクションを行なうことで、自身の実践の基底となっている状況における感情が想起され、これを契機として気づきがもたらされることが明らかとなった。この気づきが、いかに当事者の身体に内面化され、次回以降の実践に身体的行為として発現されていくか、いわゆるknowing-doing gapが問題となるが、これについて、スモールステップの課題を一つずつ積み重ねていくことが重要であるとの結果が出された。knowing-doing gapの架橋のために実践者のアンラーンが必要となるという次なる課題が出されてきた。
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