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2022 Fiscal Year Research-status Report

〈政治〉と〈経験〉の人間形成論的探究─プラグマティズムによる教育的正義の再構築─

Research Project

Project/Area Number 19K02474
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

生澤 繁樹  名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70460623)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2024-03-31
Keywordsプラグマティズム / 探究する公衆 / 真理の仮説的性質 / 指導(者) / 公共性 / アソシエーション / 近代教育 / 現在の経験
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、社会正義の構築を求める〈政治〉と人間存在にとっての〈経験〉の在り方・諸相の再理解とが交錯する地点で立ち現れる新たな人間形成論の理論的枠組みを構想すること目指してきた。その手がかりとして本研究が着目したのは、古典から現代へと至るプラグマティズムの哲学・思想的方法の展開可能性である。本研究ではここまでその理論的諸課題の検討が作業の中心となってきた。
2022(令和4)年度の研究では、教育的正義という課題から見た社会・政治理論と教育理論双方の課題の整理、またその課題を検討する方法としてのプラグマティズムの哲学・思想の展開可能性の吟味という、ここまでの成果を足場としながら、大きく分けて以下の二つの検討作業を行なった。第一は、前年度までの検討をより精緻なものとするために、プラグマティズムの哲学・思想の検討をさらに推し進め、真理観と政治の問題および物質的・社会的・人間的環境を通じた批判的な公衆の形成についての議論を深めたことである。第二は、当初の研究計画において掲げていた学校改革や教育改革の文脈のなかでの教育的正義をめぐる英米圏の文脈と日本の文脈に固有なプラグマティズムの実践的展開に注目し,〈政治〉と〈経験〉をつなぐ人間形成論のための理論的枠組みと諸条件の解明を試みようとしたことである。教室における民主主義と社会正義の実現や社会批判的教育実践の可能性など、研究代表者のこれまでの成果を土台としながら教育的正義の構築が必要となる課題をより具体的に考察することが、本研究の新たな検討対象となる。本年度の研究からはそのことがいっそう明確となった。さらに上記二点の検討作業は、より精緻な検討を要する課題であることが見えてきたため、次年度の研究にて引きつづき取り組んでいくつもりである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度までと同様、国内外の出張や資料調査等々が十分に実施できなかったという制約は依然としてあるものの、対面での大会も徐々に増え、研究課題に関する情報が集めやすくなった。また課題研究などでの研究報告の機会や討論の機会も十分に得られた。本研究の課題解明に資する成果が得られ、研究は滞りなく遂行することができていると評価する。
成果としては、論文・書籍の刊行と学会発表等を進めるなかで、プラグマティズムの歴史的・思想的課題を踏まえた検討にとどまらず、日本的文脈を踏まえた考察を進める必要性が見えてきた。人間形成論を必要とする教育的正義の構築の問題にプラグマティズムがいかなる貢献を果たしうるかという中心問題に答えるための総合的な観点の提示はできなかったものの、理論的課題と実践的課題の双方についての研究をより精緻なものにする必要が見えてきたため、次年度を最終年度として研究期間を延長し、引き続き考察を進めていく。
国際学会での報告機会については計画を一部変更した。ただしその分を、英語論文の執筆や文献調査・資料整理等のための時間に充て、国際的発信に向けた準備を進めることができた。この点においても、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。

Strategy for Future Research Activity

コロナ禍による研究上の制約がかなり緩和されると予想される。大会への参加・報告、研究会の企画・参加など、国内外にて研究課題解明を遂行するための準備はおおむね整っている。とりわけ次年度では、国外の研究者との交流を活発にさせ、国際的な研究発信や海外での研究機会を増やしていき、研究課題の精緻化に積極的取り組んでいく。

Causes of Carryover

海外渡航計画を十分に遂行することができず,次年度使用額としての繰越金が発生した。次年度使用額については、研究課題について海外の研究者からの助言を受けながらさらに精緻なものとして検討するために必要な経費として使用する。具体的には、海外渡航費の一部、課題解明を遂行するために必要な補足的文献・資料収集等の経費として使用する計画である。

  • Research Products

    (11 results)

All 2023 2022 Other

All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results) Book (1 results) Remarks (2 results)

  • [Journal Article] 『教育学のパトス論的転回』を読む(2) : 教育哲学研究のさらなる展開へ2023

    • Author(s)
      岡部 美香、平石 晃樹、生澤 繁樹、森田 伸子、小野 文生、古波蔵 香
    • Journal Title

      大阪大学教育学年報

      Volume: 28 Pages: 11~22

    • DOI

      10.18910/90191

  • [Journal Article] 修繕される教育、呼び戻される近代─コロナ禍が加速させる連帯と分断─2022

    • Author(s)
      生澤繁樹
    • Journal Title

      中部教育学会紀要

      Volume: 22 Pages: 89-101

  • [Journal Article] Cultivating classroom democracy: Educational philosophy and classroom management for social justice2022

    • Author(s)
      Izawa Shigeki
    • Journal Title

      Educational Philosophy and Theory

      Volume: online: 07 Jul 2022 Pages: 1~10

    • DOI

      10.1080/00131857.2022.2094244

  • [Journal Article] 探究する公衆とプラグマティズムの真理論―公衆を探究へと導くものとは何か―2022

    • Author(s)
      生澤繁樹
    • Journal Title

      日本デューイ学会紀要

      Volume: 63 Pages: 印刷中

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 教育哲学研究と博士論文の執筆─学位取得に向けて/を越えて教育哲学を展望する─2022

    • Author(s)
      小野文生・生澤繁樹・河野桃子・嶋口裕基・谷村千絵・門前斐紀
    • Journal Title

      教育哲学研究

      Volume: 125 Pages: 113-116

  • [Presentation] 民主的公衆と情熱的知性─プラグマティズムの政治的含意を読みなおす─2022

    • Author(s)
      生澤繁樹
    • Organizer
      日本デューイ学会第65回研究大会・課題研究「民主主義の危機にプラグマティズムは、どう対応するか」
    • Invited
  • [Presentation] 世界市民主義と共同体主義のあいだで/を越えて─デューイのプラグマティズムから世界市民的教育の空間を探ることは可能か?─2022

    • Author(s)
      生澤繁樹
    • Organizer
      教育哲学会第65回大会・ラウンドテーブル4「世界市民的教育の空間を考究する──境界の内で/境界を越えて」
  • [Presentation] 指定討論:パトスをつかまえる、つなぎとめる─その(不)可能性と(不)必要性─2022

    • Author(s)
      生澤繁樹
    • Organizer
      教育思想史学会第32回大会・コロキウム6「パトスの語り方を問う」
  • [Book] わたしの学術書2022

    • Author(s)
      春風社編集部
    • Total Pages
      500
    • Publisher
      春風社
    • ISBN
      9784861107610
  • [Remarks] 名古屋大学教員データベース

    • URL

      https://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/html/100009081_ja.html

  • [Remarks] リサーチマップ

    • URL

      https://researchmap.jp/shigekiizawa/

URL: 

Published: 2023-12-25  

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