2019 Fiscal Year Research-status Report
医療専門職との連携によるインクルーシブ教育実践カリキュラム構想に関する研究
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19K02487
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
阿部 秀高 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (80617572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 弘子 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (30465661)
中根 征也 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 准教授 (70742419)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インクルーシブ教育 / 教員研修 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
共生社会実現のためのインクルーシブ教育システム構築を目指すカリキュラム・マネジメント、教育方法、授業方法の研究を行う。学校現場(研究協力校)との連携により、特別支援学級に在籍する軽度発達障害の子どもの教育を行うために鍼灸、理学療法、作業療法の知見を応用するために、教員研修や教育課程のあり方について、実践的な研究を進めている。2019年度は、研究協力校における教員研修や保護者、児童への講習会を以下のような日程で行った。 ○第1回校内授業研究会(2019年5月13日)「インクルーシブ教育実践授業の在り方について」○第2回校内授業研究会(2019年6月27日)3年生算数科授業を教員全体研修会○第1回特別支援学級児童・保護者対象 発達支援講座「からだが変われば学びが変わる」(2019年7月30日)○特別支援学級担当教員指導力向上講座打ち合わせ(2019年8月26日)○第1回特別支援学級授業公開(2019年9月9日)○第1回特別支援学級担当教員指導力アップ講座(2019年9月15日)○第2回特別支援学級授業公開(2019年10月14日)○第3回校内授業研究会(2019年11月21日) さらに、日本人間教育学会での発表「医療専門職との連携によるインクルーシブ教育実践カリキュラムの創造」を行った。 また、本研究のコンセプトをより多くの教育現場に広げるために、本研究に基づく実践手引き書として、小冊子「インクルーシブ教育方法論に基づく教育実践とは?」を作成し、研修代表者が関わる各市郡の教育委員会始め、大阪、兵庫の11校に配布し、招聘された校内研修で本研究の目的や理念、見通されるせいかについて解説をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進捗状況としては、昨年度2学期までは、概ね順調だったが、3学期に予定していた授業観察や、新年度の計画が、緊急事態宣言によってできなくなってしまったため、やや遅れているという自己評価である。 昨年度は、研究協力校において、授業実践の記録を大量に蓄積することができ、それに基づいて、児童一人ひとりの支援の在り方について、関わっている教師それぞれが自身の取り組みについて振り返り、改善へ向けてそれぞれの実践を内省、更新させ、方法や実践の計画の方法などについて、意見交流を行うことを続けた。そのまとめはまだであるが、昨年度積み重ねてきたデータとして、顕著な成長を見せている児童に特化して、その成長の過程をたどりながら、本研究の目標であるカリキュラム作成の中で、必要となる指導方法や単元構成、場づくり、活動選択などの知見を明らかにしていくことができた。また、教員研修を通して、インクルーシブ教育方法論に基づく授業づくりのポイントの有効性を明らかにするための、授業実践についても実績を残すことができた。こうした教員研修の積み重ねにより、教員の力量形成に関しても教師自身も実感が得られていることが、教員の公開授業後のアンケートからも明らかになってきた。最後に、医療専門職による、公開講座によって、保護者の安心感と教師への信頼感が高まっていることも、学校評価の特別支援教育に関する回答に見られた。 以上本研究が、研究協力校において、インクルーシブ教育の実践の効果を上げることに寄与していることが実感できた2019年度であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度、2月、3月に予定していた2019年度に蓄積した授業記録のまとめや次年度の計画づくりがほとんどできず、また、まとめをもとにした成果の検証、さらには、課題の確認、反省材料のピックアップなど、実践を行った教師と共に、カンファレンスを行うこともできなかった、という実態により、2020年度は、緊急事態宣言による自粛期間でそれぞれのデータ分析を行い、解除とともに研究が開始できるようにする。 自粛期間により、子どもたちの実態も変わっていることが予測されるため、まず学校再開とともに、子どもたちの実態把握を再度おこない、新年度の個別指導計画の見直しと、今後の研究における中心的な研究対象となる子どもの選定を行う。 今年度は、研究協力校において、伊丹市指定の公開研究発表会が11月下旬に行われる予定である。そこで公開する授業の構想を柱に、今年度のカリキュラムを特別支援学級全学級において見直し、カリキュラムの再編を行う。本研究の目指す医療専門職との連携によるインクルーシブ教育実践カリキュラムの試案作成に向けて、研究分担者である医療専門職に定期的に来校を願い、有効な体幹体操、ヴィジョントレーニングなどの講習会を行ってもらうようにする。 こうした取り組みの有効性を子どもの変容から見取り、来年度の成果発表に向けての準備としていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、研究協力校への旅費や学会などへの出張が少ない状態である。また、テレワークなどの影響もあり、研究分担者、研究協力校との相談、打ち合わせがやりにくく、使用教材などの選定、調達が進んでいない。次年度、現在の社会状態、生活状態を鑑み、児童の実態が変化することが考えられる。そのため、追加で必要となるものがあることを見越して、2019年度、使用しなかった分を繰り越して活用する必要があると考えている。
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Research Products
(1 results)