2019 Fiscal Year Research-status Report
附属学校との連携による触知型教育遊具の効果検証とそのアーカイブ化
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19K02499
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
村松 俊夫 山梨大学, その他部局等, 理事 (00262642)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教材開発 / 教育遊具 / 触知による教育 / 美術科教育 / 基礎デザイン教育 / 図形科学教育 / 形態構成 / 数理造形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、造形教育(デザイン学)のみならず理科教育(物理)や数学教育(幾何学)、技術教育(工学)の内容を実践的に学ぶことができる新規の「教科横断型教具」として制開発するものである。これまで、教材自体に4教科の内容を教授できる教材を開発し、保健体育の内容も体験的に理解できる遊具として提案を続けてきたが、今回はこれらの研究で得られた成果を、さらに初等教育(小学校)においても分かりやすく教授できる教育遊具に展開させようとするものである。具体的には、既存の大型教育遊具を安全に転がして遊ぶことができる「小型の遊具」として体系的・網羅的にアーカイブ化する。 本年度は、いまだ触知型教育遊具として未制作の「等高重心立体の構造」が2種あるため、小学校児童も安心・安全に触って遊べるよう、50㎝立方の大きさを前提として、新規のオブジェを制作した。この形態は、頂角120度の円錐を3つ繋ぎ合わせ、軸を通る正6角形の断面で60度ひねったものである。最終形は半円錐が交互に6個つながった円錐可展面の連続になるが、立体上には可展面にならない側円柱面も生じる。軌跡事態は、ヘキサスフェリコンのように途中で旋回することなく、左右に揺れながらスフェリコンに近い動きを呈することが確認できた。 また、今年度は、関連研究として遂行していた本年度最終年度である平成27年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)【基盤研究(C)課題番号15K04489】「奇数スフェリコン・ハイブリッドスフェリコンの形態を用いた新しい触知教育遊具の開発」による研究成果を、国内学会発表1件、国際学会発表1件、国際学会招待基調講演1件として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、もう1つの等高重心立体「同直径の円筒をXYZ軸3方向から中心軸を合わせて直角に貫通させた形態」も制作を予定していた。この形態は直交する90度方向から円で抜かれているので、頂点を越えてどの方向へも転がっていくことが可能な立体であると予想された。しかしながら、2019年度の後半の新型コロナウイルス感染症の拡大により、本研究課題にかけるエフォートの大幅な減少を強いられ、研究遂行に支障をきたしたため完成には至らなかった。また、同様の理由により、附属小中学校と連携による新しい形態のスケール感・動きなどを児童生徒から聞き取り調査することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで完成している大型遊具をもとに令和2年度中に小型化を図り、体系的・網羅的なアーカイブを作成する。転がる様態として、基本4種と奇数往復運動スフェリコン2種、偶数ハイブリッド型スフェリコン2種を対象とする。折に触れ、附属小学校中学校と連携した展示会・学園祭などに展示し、小型アーカイブ化したスフェリコンの、安全性・取り回しの良さ・スケール感・動きのテンポなどの要素について児童生徒からのアンケート・聞き取り調査を実施し検証をおこなう。 最終年度(令和3年度)は、総覧的な展示会を開催し、その状況と映像(動画・静止画)を撮影する。実際の動きを体験した鑑賞・遊技者(児童・生徒)の反応を観察し、アンケート調査や聞き取り調査を実施する。合わせて様々な年齢・性別の鑑賞者の状況観察をおこない、一連の教科横断型触知教育遊具を実際の学校教育や生涯学習のシーンで使用する場合の教育効果、安全面でのポイントなど、教育現場へ提供する際の参考資料としてまとめる。また、国際学会等で口頭発表、論文発表もおこなう。また、新たな知見を社会に広く開示するためにホームページを更新するとともに、教科横断型触知教育遊具としての利用促進のため印刷配布物も発行する。
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Causes of Carryover |
2019年度の後半、新型コロナウイルス感染症の拡大により、教学・国際交流担当理事としての業務が大きく増大した。それに従い、本研究課題にかけるエフォートの大幅な減少を強いられ研究遂行に支障をきたした。よって、次年度における使用額が生じたものである。 次年度使用額は、本年度使用額と合わせ、小型化する触知型教育遊具の試作品(3~4点程度)制作費に充てる。
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