2021 Fiscal Year Research-status Report
附属学校との連携による触知型教育遊具の効果検証とそのアーカイブ化
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19K02499
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
村松 俊夫 山梨大学, 教育学域, 教授 (00262642)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教材開発 / 教育遊具 / 触知による教育 / 美術科教育 / 基礎デザイン教育 / 図形科学教育 / 形態構成 / 数理造形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、一貫して造形教育(デザイン学)のみならず理科教育(物理)や数学教育(幾何学)、技術教育(工学)の題材を実践的に学ぶことができる「触知型教科遊具」として制作開発するものである。これまで、教材自体に4教科の指導内容を教授できる教材を開発し、保健体育の内容をも体験的に理解できる遊具として提案を続けてきた。今回はこれらの研究で得られた成果をもとに、さらに初等教育(小学校)においても分かりやすく教授できる小型の「触知型教育遊具」に展開させようとするものである。 具体的には、既存の大型教育遊具を安全に転がして遊ぶことができる「小型の遊具」として体系的 網羅的にアーカイブ化する。そののち、主として山梨大学教育学部附属小学校の協力を得て、 図画工作、算数 、理科、体育等の各単元において、関連のある教育遊具として使用してもらい、 児童の興味を引き出し、その単元が狙う教育目的の内容をより強固に定着させることを目的としている。 令和3年度は、昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症(COVID19) 蔓延の影響により、附属学校園における対面授業の縮減など様々な研究活動に支障が生じる事態が起こった。また、各研究学会の中止等が相次ぎ、研究発表の機会も失われた。 そのような状況の中にあって、8月21日(土)に実施された「日本基礎造形学会東北大会」はオンラインによる開催であったが、リモート参加により、新作の触知型教育遊具「A study of tangible q」について口頭発表を行った。これは、大型教育遊具「A study of tangible Zero」小型にし、アーカイブ化を試みたものである。 その後、他の特徴的な大型教育遊具「A study of tangible」シリーズ3種の小型化を完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
理由 本年度(令和3年度)は、現在まで完成している大型遊具をもとに小型化を図り、体系的・網羅的なアーカイブを作成する予定であった。転がる形態としては、基本の4種と奇数往復運動スフェリコン2種、偶数ハイブリッド型スフェリコン1種を対象とし、概ね目的は達成された。 その後、附属小学校・中学校と連携し、小型アーカイブ化したスフェリコンの、安全性、スケール感、動きのテンポなどの要素について児童生徒からのアンケートによる聞き取り調査を実施し、それをふまえた上で附属小学校において教諭による模擬授業をおこなう予定であった。 しかしながら、一昨年以降の新型コロナウイルス感染症(COVID19) 拡大による附属学校園における対面授業の縮減、公務(学生サポートセンター長など)における新型コロナウイルス感染症への対応など、本研究課題にかけるエフォートの大幅な減少を強いられる結果となった。そのため、研究業務遂行に多くの支障をきたし、進捗状況は遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
附属学校園との連携を主とする研究であるが、一昨年3月以降の新型コロナウイルス感染症(COVID19)蔓延状況により、附属学校園における対面授業の縮減、関連学会の中止等、研究活動が難しくなる様々な事態が起こった。また、新型コロナウイルス感染症へ迅速に対応するため、公務(学生サポートセンター長)の業務が甚だしく増大した。それに伴い、本研究課題にかけるエフォートの大幅な減少を強いられ、研究遂行に大きな支障をきたした。 この間、既存の大型教育遊具を「小型触知型教育遊具」としてアーカイブ化することは一定程度実現できたが、附属学校園との連携による模擬授業ができなくなり、初等教育における「触知型教育遊具」の教育効果検証ができなくなった。そこで、1年間の研究機関を申請し、本年度(令和4年度)中の研究完了を目指すものである。
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Causes of Carryover |
既存の大型教育遊具を「小型触知型教育遊具」としてアーカイブ化することは一定程度実現できたが、附属学校園との連携による模擬授業ができなくなり、初等教育における「触知型教育遊具」の教育効果検証ができなくなった。 本年度に繰り越した費用は、一部を未完である「小型触知型教育遊具」の試作品制作加工費として執行するとともに、他の繰り越した研究費用は、附属学校園における検証調査費、研究協力者への謝金、展示会の開催諸費用、成果広報印刷物代、ホームページ改修費用などに充てる予定である。
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Remarks |
2022年2月27日より3月7日まで、山梨大学大村智記念学術館大村ホールにおいて、当該科学研究費助成金による「小型触知型教育遊具」を含む展示会「見えないものを観る装置」を開催した。期間中、アーカイブ化(小型化)に適切な試作品を選定するためのアンケート調査を来場者に対して実施し、105件の回答を得た。今後の研究に役立てていくつもりである。
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