2022 Fiscal Year Research-status Report
附属学校との連携による触知型教育遊具の効果検証とそのアーカイブ化
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19K02499
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
村松 俊夫 放送大学, 山梨学習センター, 特任教授 (00262642)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教材開発 / 教育遊具 / 触知による教育 / 美術科教育 / 基礎デザイン教育 / 図形科学教育 / 形態構成 / 数理造形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の端緒は、造形教育(デザイン学)のみならず理科教育(物理)や数学教育(幾何学)、技術教育(工学)の題材を実践的に学ぶことができる「触知型教科遊具」を制作開発するものである。これまで、教材自体に4教科の指導内容を教授できる教材を開発し、保健体育の内容をも体験的に理解できる遊具として提案を続けてきた。そこで、今回はこれらの研究で得られた成果をもとに、さらに初等教育(小学校)においても分かりやすく教授できる小型の「触知型教育遊具」に展開させようとするものである。 具体的には、既存の大型教育遊具を安全に転がして遊ぶことができる「小型の遊具」として体系的・網羅的にアーカイブ化する。そののち、山梨大学教育学部附属小学校の協力を得て、図画工作、算数、理科、体育等の授業において、関連のある教育遊具として使用してもらい、児童の興味を引き出し、その授業が狙う教育内容をより強固に定着させることを目的としている。 令和4年度の前半は、新型コロナウイルス感染症(COVID19)の感染状況を注視しつつ、附属小学校における研究授業実施の可能性を探った。その間、大型の教育遊具を小さくアーカイブ化した「A study of tangible g」を、8月27日(土)に開催された「日本基礎造形学会福岡大会」において、また同作品を2月4日~10日にわたって開催された韓国基礎造形国際学会メルボルン大会においても発表した。 その後、新型コロナウイルス感染症も収束傾向が見え始め、附属小学校における対面授業も再開されたため、本来の研究目的である「触知型教育遊具を用いた研究授業」を小学6年生対象に1月に実施した。これは、アーカイブ化したオブジェ8点を鑑賞し、その理解をもとに紙によるモデルで各自が構造を追体験する授業である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年(令和4年)度までは、現在まで完成している大型遊具をもとに小型化を図り、体系的・網羅的なアーカイブを制作できた。形態の種類としては、基本の4種と奇数往復運動スフェリコン3種、偶数ハイブリッド型スフェリコン1種である。 今年1月(17日・18日の2日間)、附属小学校教諭の指導のもと、小学6年生1クラス(32名)に対し、とくに図工・算数・理科などの教科は定めない「特別研究授業」を実施した。小型アーカイブ化したオブジェを提示し構造の解説をおこない、その動きを鑑賞したうえでペーパーモデルによる構造を確認する授業である。 上記研究授業の静止画・動画による記録、振り返りシートによる児童たちの反応など、データは蓄積できているが、学期末の研究授業であったので、いまだ十分な整理、検証、考察までは至っていない。 したがって、進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
附属学校園との連携を主とする研究であるが、一昨年3月以降の新型コロナウイルス感染症(COVID19)の蔓延により、附属学校園における対面授業の縮減、関連学会の中止等、研究活動が難しくなる様々な事態が起こった。また、一昨年は学生サポートセンター長としての新型コロナウイルス感染症への対応、昨年は旧所属大学定年退職にかかわる種々の業務増大など、本研究課題にかけるエフォートに大幅な減少を強いられ、研究遂行に大きな支障をきたした。 この間、既存の大型教育遊具を「小型触知型教育遊具」としてアーカイブ化することは一定程度実現できたものの、附属学校園との密接な連携による研究授業ができなくなり、当初の予定であった初等教育における触知型教育遊具の教育効果検証が大幅に遅れた。 昨年(令和4年)度末、ようやく研究授業が実施でき、静止画・動画による記録、振り返りシートによる児童たちの反応など、種々のデータは蓄積できているが、学期末の研究授業であったので、いまだ十分な整理、検証、考察までには至っていない。 今年(令和5年)度前半に研究成果をまとめ、8月31日に札幌で開催される国際会議(アジア基礎造形連合学会)の基調講演において、研究成果を発表する予定である。その後、ホームページの改修もおこない、研究成果を広く社会に開示する。
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Causes of Carryover |
既存の大型教育遊具を「小型触知型教育遊具」としてアーカイブ化することは一定程度実現できた。しかしながら、新型コロナ感染症の影響で、附属学校園との連携による研究授業の実施が大幅に遅れ、初等教育における「触知型教育遊具」の教育効果を検証する時間と、研究発表をする機会が得られなくなった。 本年度に繰り越した費用は、国際学会における研究成果の発表、既設ホームページ改修費用、成果広報印刷物代等に充てる予定である。
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