2020 Fiscal Year Research-status Report
ドイツにおける「責任ある研究・イノベーション(RRI)」教育の制度論的研究
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19K02500
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
藤井 基貴 静岡大学, 教育学部, 准教授 (80512532)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 研究公正 / 学問の自由 / 研究倫理 / インテグリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1)欧州並びにドイツにおける科学技術行政体制やRRIに関わる最新動向の情報収集・分析を行った上で、2)ドイツの研究機関および関連団体における若手研究者及び研究指導者に対する教育・研修プログラムの分析を進め、3)その知見を総合することによって、国際比較的な視座からRRI教育をめぐるドイツの動態と特徴を明らかにし、4)日本版RRI教育プログラムのモデル開発に貢献を果たすことにある。2020年度の成果は次のとおりである。欧州並びにドイツにおける最新の取組状況に関する文献収集、データ分析、ヒアリング調査を実施するとともに、関連する学会・研究会等において情報収集を行った。欧州の取組状況については、関連する研究会等を主催・参加することを通じて、情報収集につとめた。とりわけ、高等教育の専門職者育成について「第三領域」という視点から検討を行い、論文にまとめた。ドイツにおける状況については、電子ジャーナルをめぐる課題について、研究協力者である栗島准教授(埼玉大)と情報収集を重ね、共同で論文を執筆した。また、これまでのドイツにおける高等教育政策について「学問の自由」という視点から概説し、図書出版を企画した出版社に寄稿した(現在、編集作業中)。教育プログラムの開発にあたっては、covid-19によるパンデミックの状況を鑑みて、オンラインによる試行開発を重ねており、2020年度にあたっては大学の教職講義やインテグリティ教育を題材として、オンラインツールの教育効果の分析を行い、論文や教材集にまとめた。これらの成果の一部については、国内の大学等における研修で紹介するとともに、学会・研究会などで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献収集やデータ分析、これまでの成果報告等については概ね順調に進めることができた。当初予定していたドイツでの現地調査については、covid-19による渡航禁止措置のため実施できなった。
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Strategy for Future Research Activity |
欧州における最新の研究動向の把握については、関連機関のウェブサイトの閲覧及びオンラインによる会議を活用して調査の拡充を図る。あわせてドイツ大学長会議の文書資料室のランペ博士から配信される文献情報をもとに、関連分野のEジャーナルやオープンアクセスとなっている論文を収集し、共同研究者とともに翻訳や検討を行う。加えて、covid-19の影響による欧州圏の研究公正システムの制度化や「責任ある研究とイノベーション(RRI)」の取組に関わる最新動向についても連携している海外の研究者から調査の補完を図りたい。教育プログラムの開発にあたっては、現地での視察の代替として、オンラインでの実施が進められている研究倫理プログラムの内容やセミナー等を受講し、開発に役立てる。
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Causes of Carryover |
Covid-19による渡航禁止措置のためドイツでの現地調査が行えず、出張費を翌年に繰り越したため。
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