2019 Fiscal Year Research-status Report
資質・能力を育成する授業づくりを軸にした学校改善の方法論に関する開発研究
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19K02502
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 英真 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (10452327)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学校変革 / 授業研究 / 資質・能力 / 「教科する」授業 / PDCA / 学習する組織 / カリキュラム・マネジメント / 学校改善実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究目的①に関して、めざす資質・能力、教育方法、学校組織のあり方について、国際的な改革動向や歴史的展開をふまえつつ、日本の教育の理論と実践に即して、日本の学校が今めざすべき固有の改革のヴィジョンとその実現の方法論について論じた。具体的には、OECD のEducation 2030事業をはじめ、資質・能力論の新たな展開に分析を加え、特に非認知的能力の育成をめぐる課題を整理した。また、職人的なアートとして遂行されてきた日本の授業実践の蓄積も整理しつつ、それに科学性やシステム化を志向する米国等の知見を統合することで、授業づくりに関わる理論的枠組みを体系化した。 研究目的②に関しては、経営学や組織論一般ではなく、学校という組織の特殊性に即して、また、資質・能力の育成という現代日本の学校の機能と役割に即して、学校共同体の形成の方法論を検討した。また、日本各地の初等・中等教育段階の教育現場とのアクション・リサーチを通して、授業研究を軸に学校を学習する組織として改革していく取り組み(学校改革実践)をネットワーク化していった。これにより、PDCAサイクルを超えて価値探究へとつなぐという、学校改革の基本的な方法論を提起した。 上に述べたような研究成果については、著作や論文として発表するとともに、学校経営の専門学会の公開シンポジウムに招待されるなど、自らの専門分野以外の教育研究の諸学会において、広く発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外調査は行えなかったが、授業論や学校経営論についての文献調査を進め、現場でのフィールドワークを通して、授業改善を軸にした学校改革の指針を構築することができた。また、学校経営の専門学会の公開シンポジウムに招待されるなど、広く研究成果を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスの感染拡大により、フィールドワークや海外調査は困難であるが、蓄積した実践事例の分析や、文献調査を進める。また、この状況が、日本の学校や日本社会にもたらす影響も分析しながら、学校教育の置かれている新たな局面を明らかにしていきたい。
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