2022 Fiscal Year Research-status Report
市町村教育委員会の組織論的研究ー組織の「健全性」とその規定要因の分析を中心にー
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19K02505
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
河野 和清 京都光華女子大学, こども教育学部, 教授 (30116579)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教育委員会 / 市町村教育長 / 組織の健全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1990年代後半以降、いじめ問題や体罰等への不適切な対応をめぐって、教育委員会は、その「形骸化」や「機能低下」が厳しく指摘、批判され、その結果、首長や新教育長の権限強化など大幅な制度改革が行われ、2015年より新しい教育員会制度がスタートした。しかし、この新教育委員会制度は制度改革として一定の評価はされるものの、依然として、教育委員会の組織としての機能低下ないし形骸化の問題は解決されないままでいる。 このような問題認識から、本研究では、教育委員会の組織としての健全な姿(=組織特性)とは何かという根本的な問いから始め、それがどのような要因によって影響を受けるとともに、それが教育委員会の行政活動や政策立案等にもどのような影響を与えるかを包括的に検討し、もって教育委員会の機能低下・形骸化の問題に解決の糸口を見出すことを目的とした。 以上の研究目的を達成するため、初年度と二年度は、本研究の分析枠組を決めるため、市町村教育長等への面接調査や文献調査を行う予定であったが、コロナ禍にあって、文献収集とその分析が中心となり、ある程度の分析枠組の計画化を図るにとどまった。そして三年度と四年度は、市町村教育長への面接調査と質問紙調査を行う予定であったが、コロナ禍と申請者の体調不良等により、それが困難となった。ただ、この間、本研究の分析枠組を考えるにあたって、近年の社会動向からみて、①職員のwell-beingの観点から組織の健全性を捉えなおす必要があること、また、②組織の健全性が何によって担保され、それが行政や政策活動のどのような影響を与えるかを検討する必要があることなどが明らかとなった。以上のことを踏まえて、研究の期間延長の認められた本年度(五年目)では、教育長への聞き取り調査と質問紙調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
概要のところでも述べたように、新型コロナウイルスの感染等により、引き続き、教育長等への聞き取り調査や米国での文献調査が行えなかったこと、また、一昨年の後半以降、申請者の体調不良(入院等その他)の理由により、本研究の分析枠組の策定が必ずしも十分にできず、三年度(昨年度)に続き、研究計画の実施に大幅な遅れが生じたことを認めざるを得ない。ただ、厳しい制約下にあって、本研究の方向性も少し見えてきており、また、コロナ禍も終息に向かいつつあるので、本年度は、市町村教育長への聞き取り調査に加えて、質問紙調査を実施していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、以下の通りである。 前年度の反省点を踏まえ、今年度は、本研究の理論枠組として、次の諸点を考慮に入れて、先ずは市町村教育長への聞き取り調査を行い、次にこの調査を踏まえ、質問紙調査をおこなうことにする。考慮事項とは、①委員会事務局職員のwell-beingの観点から組織の健全性の問題を捉えなおすこと、②社会の変化に教育委員会がどう対応しているか、環境への適応性に着目すること、③特に学校や地域との連携をどのように図っているのか、④組織の健全性は何によって担保され、それが行政活動や政策立案にどのような影響を与えるのか、などである。なお、政策立案に関しては、文化事業もしくはコロナ対策事業等に焦点を当ててみたいと思う。 以上、期間延長を認められた本年度(5年目)は、市町村教育長への聞き取り調査と質問紙調査を行い、本研究課題の達成に努めたい。
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Causes of Carryover |
①今年度もコロナ禍という特殊事情と申請者の体調不良という個人的事情のため、市町村教育長等への聞き取り調査等が困難となった。次年度は、収集した文献の分析等を踏まえて、市町村教育長への聞き取り調査と質問紙調査を行うことを予定している。 ②次年度の使用計画は、概ね以下の通りである。先ず、市町村教育委員会(13団体)に対する聞き取り調査のため、旅費(33万円)が必要となる。次に、市町村教育長を対象とする質問紙調査を行うため、印刷費(35万円)、郵送費(29万円)が必要となる。そのほか、アメリカ文献調査旅費(35万円)及び調査の補助を行うアルバイト代(5万円)、文房具等の消耗品費(3万円)、図書費(14万円)、パソコンソフト購入費(5万円)等も必要となる。市町村教育長に対する全国調査(質問紙調査)の主な内容は、組織の健全性の概念や組織の健全性を阻害する要因やコロナ対策事業・文化事業に係る質問項目が中心となる。なお、今年度も新型コロナウイルスの感染状況を若干考慮しつつ、実施することになる。
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