2020 Fiscal Year Research-status Report
コンピテンシー重視の時代における教師教育と教育学の在り方に関する日独比較研究
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19K02506
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
鈴木 篤 大分大学, 教育学部, 准教授 (70634484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久恒 拓也 新見公立大学, 健康科学部, 講師(移行) (30781257)
白石 崇人 広島文教大学, 教育学部, 准教授 (00512568)
坂越 正樹 広島文化学園大学, 学芸学部, 教授 (80144781)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コンピテンシー / コンテンツ / 教育学 / 細分化 / 道徳教育 / 教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は国内の複数の研究機関(東北大学、北海道大学)の教育学部に勤務した教育学研究者とその研究内容についての基礎的なデータを収集し、それらの研究者たちの属性を分析するとともに、東北大学・宮城教育大学に勤務した高橋金三郎の事例から、戦後初期において教員養成に携わる大学の教官が教師教育のコンテンツとコンピテンシーをどのように考えていたのか検討した。 また、前年同様に戦後日本のアカデミズムにおける道徳教育論議の歴史的分析を行い、1970年代中頃から1980年代末までの時期を対象に研究者としての大学人、すなわち教育学者や倫理学者、心理学者などが道徳教育に関していかなる立場をとり、どのような声を上げてきたのかを検討してきた。1970年代以降、アカデミズムにおける道徳教育論は「道徳の時間」へと収斂・一元化されるようになり、それとともに道徳授業方法の検討を求める議論が積極的に行われるようになった。そして、それらの議論においては子どもたちの考え方の多様性を活かした授業が求められ、道徳授業の方法論・発問論・資料活用方法論などが熱心に議論されるようになる。さらに、道徳性の発達段階に関する知識や議論が心理学者以外にも広く共有されるようになり、子どもの自律性への配慮や、家庭教育へのまなざしなども見られるようになったのであった。 なお、それ以外にも、戦前期の日本において研究者のみならず一般の学校教員をも巻き込む形でどのように教育学説が成立・発展していったのか、さらに戦後の日本において教育学というディシプリンがどのように体系化と細分化を進めていったのかなどの検討も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年は新型コロナウイルス流行の影響により、国内・国外への移動に制限が生じ、手元の資料を用いて実施可能な研究に取り組むにとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の流行終息状況にもよるが、移動の自由が再び戻った際には、国内・国外での資料収集等を進め、当初の予定通りに研究を進められるように取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内・国外での調査等ができず、それらを翌年度以降に回さざるを得なかったため、それらに要する経費を使用することができなかった。これらは新型コロナウイルス感染症の流行が終息し次第、実施する予定である。
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