2019 Fiscal Year Research-status Report
学校改善支援主体の機能に着目した現代イギリス保守党政権下の学校主導型制度の研究
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19K02511
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Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
青木 研作 東京成徳大学, 子ども学部, 准教授 (20434251)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イギリス / 教育行政 / 学校主導型制度 / マルチ・アカデミー・トラスト / ティーチング・スクール・アライアンス / 地方当局 / 学校改善支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の2点についての調査研究を実施した。 1.保守党政権下における地方当局の学校改善支援機能の分析 現在の保守党政権下の学校主導型制度においてはさまざまな学校改善支援主体が存在するが、2010年までの労働党政権下においてその中心的な存在であった地方当局の学校改善支援機能の現状について、地方当局の報告書や過去の現地調査の結果などを基に分析を行った。文献調査からは、2010年以降、一貫して政府は地方当局のもつ学校改善支援機能を学校に移譲することを求めており、その影響はほとんどの地方当局においてみられるが、地方当局間でもまた状況に大きな差があることを明らかにした。過去の現地調査の結果からは、学校主導型制度の進展により、地方当局がコントロールできない学校は増えているが、一方で区域内にある学校については説明責任を有するとも理解されており、学校の成績が悪いと地方当局の責任とみられることもあるという話があった。また、区域内の学校のさまざまな情報を把握しており、一定の介入する能力も持っており、すべての子どものことを考える役割を担っている地方当局が、学校改善への関与を求められていない状況に不満を感じるという話もあり、学校主導型制度が進展する中でその対応に苦慮している地方当局の状況を明らかにできた。この研究の成果を関東教育学会第67回大会で発表した。 2.学校主導型制度に関する先行研究の収集 2010年以降の連立政権や保守党政権が推進してきた学校主導型制度に関する先行研究について、例えば、スクール・リーダーシップなどの学校経営的研究、マルチ・アカデミー・トラストやティーチング・スクールなどと行政機関との関係に注目した研究、いくつかの地方当局で学校改善のために行われたシティ・チャレンジ・プログラムの政策研究など、30近い研究書や論文を収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現保守党政権下で進む学校主導型制度における学校改善支援主体の機能について研究を行うために、2019年度は地方当局の学校改善支援機能の現状分析、また、マルチ・アカデミー・トラストについての現地調査を行う予定にしていた。前者については、文献調査ならびに過去の現地調査の結果によりその特徴を明らかにし、その成果を学会発表として公表することができた。一方で、後者については、3月上旬に訪英し、5人のマルチ・アカデミー・トラストのCEOにインタビューを行うことになっていたが、コロナウィルスの感染拡大の影響により、訪英自体をあきらめざるをえなくなった。 マルチ・アカデミー・トラストは、現保守党政権が進める学校主導型制度において中心的な学校改善支援主体として位置づけられており、この調査を基に、その後2年間の研究計画がより具体的になると考えていたため、研究の進捗に関して極めて大きな影響を及ぼすと考えている。 したがって、「遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、以下の3つの方策に基づき進めていく。 第一に、2019年度に調査を行うことができなかったマルチ・アカデミー・トラストへの調査をできるだけ早く実現させる。 第二に、しかしそうは言っても、コロナウィルスの感染リスクやイギリスの入国管理等の状況について先が見通せない中、調査の実施が大幅に遅れることも想定しておく必要があるため、文献調査や各マルチ・アカデミー・トラストが出している情報の収集を行い、マルチ・アカデミー・トラストへの理解を深める。 第三に、マルチ・アカデミー・トラスト以外の学校改善支援主体、例えば、ティーチング・スクール・アライアンスや学校改善に関わる民間団体などについても、各団体が出している情報を収集し、学校主導型制度における学校改善支援の全体像を把握できるよう努める。
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Causes of Carryover |
予定していたイギリスでの調査がコロナウィルスの感染拡大の影響で実施できなかったため。
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Research Products
(3 results)
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[Book] 教育原理2020
Author(s)
古賀毅編
Total Pages
144
Publisher
学文社
ISBN
9784762029707
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