2021 Fiscal Year Research-status Report
学校改善支援主体の機能に着目した現代イギリス保守党政権下の学校主導型制度の研究
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19K02511
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Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
青木 研作 東京成徳大学, 子ども学部, 教授 (20434251)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イギリス / 教育行政 / 学校主導型制度 / マルチ・アカデミー・トラスト / ティーチング・スクール・アライアンス / 地方当局 / 学校改善支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の2点についての調査研究を実施した。 1.アカデミーの増加による学校改善状況の分析 現在の保守党政権は地方当局(LA)の影響を排除した学校主導型制度(school-led system)の実現を目指しており、高度な自律性を有する学校であるアカデミーが増加している。アカデミーには、優秀な学校が自主的にアカデミーに転換したコンバーター・アカデミー(CA)と、失敗認定された学校が強制的にアカデミーに転換させられたスポンサー・アカデミー(SA)の二種類があり、CAは他の学校の学校改善を支援することが期待され、SAは支援を受けながら学校改善を図ることが求められている。2020年時点で初等学校の36%、中等学校の78%がアカデミーとなっている。 学校改善の状況としては、2015年の結果では初等段階のSAの成績の向上率はLAの維持する学校(maintained school)の2倍以上であったとされ、また、2010年には全体の33%の学校がOfstedによりGoodよりも低い評価を受けていたが2018年には14%に減少したとされる。また、失敗認定されてSAになった631校のうち約7割の学校が次のOfstedの査察結果で改善したとされる。政府はすべての学校をアカデミーにすることを目指しており、特に複数のアカデミーが一つの経営体によって運営されるマルチ・アカデミー・トラスト(MAT)の有効性を強調し、その規模拡大や機能強化を図っている。一方で、アカデミーやMATがもたらしたとされる学校改善状況への疑義やその学校改善機能の課題などが指摘されてもいる。 2.コロナ禍における学校改善支援政策の分析 イギリスにおいても新型コロナウイルスの感染拡大により学校教育へ多大な影響が見られた。コロナ禍という非常事態における学校主導型の学校改善支援の実態や動向についても射程に含みながら研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現保守党政権下で進む学校主導型制度における学校改善支援主体の機能について研究を行うために、2021年度は、第一にマルチ・アカデミー・トラストについての現地調査、第二に2010年以降のアカデミー政策による学校改善状況に関する文献調査、第三にマルチ・アカデミー・トラストやそれ以外の学校改善支援主体に関する文献調査を行う予定にしていた。第一については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、訪英自体をあきらめざるをえなくなり、実施することができなかった。第二と第三の文献調査については、アカデミーに関する文献の収集や学校改善支援主体のホームページ等を通じてさまざまな情報を得ることができ、その実態や評価や機能についての理解を深めることができたが、そうした成果を論文としてまとめるというところまで、研究の水準を高めることができなかった。 マルチ・アカデミー・トラストに関する一定の研究成果を上げるとともに、マルチ・アカデミー・トラスト以外の学校改善支援主体の研究に取り組むことで、現保守党政権が進める学校主導型制度における学校改善支援主体の機能を総合的に明らかにしようと考えていたが、現時点ではその目的を達成する研究成果を上げることができていない。そのため、進捗状況については、「遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、以下の3つの方策に基づき進めていく。 第一に、マルチ・アカデミー・トラストに関するこれまでの文献調査を基に、その分析を進め、論文としてまとめる。 第二に、マルチ・アカデミー・トラスト以外の学校改善支援主体、例えば、ティーチング・スクール・アライアンスや学校改善に関わる民間団体などについても、引き続き文献調査を進め、学校主導型制度における学校改善支援の全体像を把握できるよう努める。 第三に、マルチ・アカデミー・トラストへの現地調査を実現させ、その実態を明らかにする。
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Causes of Carryover |
予定していたイギリスでの調査がコロナウィルスの感染拡大の影響で実施できなかったため次年度使用額が生じた。 補助事業期間を延長し、予定していたイギリスでの調査を実施することで使用する。
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Research Products
(3 results)