2021 Fiscal Year Research-status Report
社会的困難を生きる韓国の若者のキャリアパス構築に関する実証的研究
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19K02520
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
宋 美蘭 弘前大学, 教育推進機構, 准教授 (70528314)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 韓国 / オルタナティブスクール / 若者 / キャリアパス構築 / 代案学校 / 学校から社会への移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会的困難を生きる子ども・若者を対象に、制度の学校教育路線とは異なる学びの経路を歩んできた、韓国のオルタナティブスクール(代案学校、以下、AS)に焦点を当て、卒業後の彼・彼女らのキャリアパス構築に関する実態分析とその支援のあり方について調査によって実証的に明らかにすることを目的としている。 2021年度はAS卒業生の卒業後の具体的な進路状況をアンケートによる定量調査及び、それらを補うための質的調査によって浮き彫りにし、彼・彼女らがキャリアパス構築のために抱えている困難とは何か、その困難の内容をAS類型別の共通点と差異をアンケート調査によって明らかにし、その実態を浮き彫りにすることであった。しかし、新型コロナウィルスの脅威及び拡大、そしてその後の収束への見通しがたたない状況の中で、2020年度と同様に、当初計画していた研究計画の遂行に大きな困難が生じた。こうした状況を鑑み、2021年度は、本研究課題に関する文献調査および先行研究のレビューを行い、その内容を日本比較教育学会の研究交流会および、日本社会教育学会の公開研究会などで報告を行った。また、2021年度は日韓の比較の視点から日本・北海道のフリースクールを中心に研究調査を進めてきた。その成果を、韓国の『韓国日本教育学会』にて研究成果を公開している。このほか、日韓の教育学・社会学関連分野の研究者および、実践家とオンライン研究会を適宜開催した。この研究会での議論を通じて、今後の研究の方向性をさらに精緻化することができた。オンラインの研究会を当初の予定より頻繁に開催することができ、その成果を2022年12月に共著として図書を刊行の予定で進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年1月から新型コロナウィルスの脅威及び拡大、そしてその後の収束への見通しがたたない状況の中で、本研究の主たるフィールドである韓国の現地への調査の困難から、当初予定していた研究計画の遂行が非常に困難であったために、当初の計画より遅れている。 新型コロナウィルスの状況が少し落ち着いてきているものの、今後においても油断できない状況が続くと予想されることから、本研究課題について1年延期して実施する可能性も視野に入れつつ、2022年度は、コロナの状況に応じて、オンラインおよび、現地研究調査を進め、その成果を国内外に広く公開することにする。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、競争原理を超える学びの実現を目指し、子どもたちの生き方を支えるASの実践が果たして学んだ後の持続可能な移行性をもつものであるのか否か、AS卒業性の移行問題を詳細に検討するものである。新型コロナウィルスの状況が少し落ち着いてきているものの、今後においても油断できない状況が続くと予想されることから、本研究課題について1年延期して実施する可能性も視野に入れつつ、2022年度は、コロナの状況に応じて、オンラインおよび、現地研究調査を進めることにする。具体的には、第1に、当初計画をしていた、AS卒業生の進路実態および困難な内容をAS類型別共通点と差異を浮き彫りにし、彼・彼女らが、キャリアパス構築のために、現在抱えている困難とはなにか、その実態をアンケート調査によって明らかにする。第2に、<第1の課題>から得られた結果に基づき、AS卒業者が進路・労働市場への移行ために、卒業されている学校と地域・行政との連携が具体的にどのように行われているのか、それぞれの関係者にインタビュー調査を実施する。現在、ASの場を供給する主体が急速に広がるなかで、ASで学んだ子ども・若者の最善の利益を保障するあり方を考える上で、主体間の連携はますます重要とされる。今後はこれらの研究成果を、国際学会及び国内の研究・実践場においてその成果を広く公開することにしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの脅威及び拡大、そしてその後の収束への見通しがたたない状況により、当初計画していた研究計画の遂行に大きな困難が生じ、当該年度の研究費の執行ができなかったため、次年度使用に繰り越すことにする。
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Research Products
(5 results)