2021 Fiscal Year Research-status Report
Work-Life Career Development of Boys and Men in Insular Southeast Asia
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19K02525
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
鴨川 明子 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40386545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 美奈 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (30298442)
金子 奈央 長崎外国語大学, 外国語学部, 特別任用講師 (60761088)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジェンダー / キャリア形成 / 男性学 / 男性の教育不振 / 女子教育 / 比較教育学 / 職業教育 / リバースジェンダーギャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高等教育段階において男女間の教育格差が縮小しているように見えるが、男性がより高い教育段階に進学しない点に特質が認められる島嶼部東南アジアの国々に対象を絞り、男性の「ワークライフキャリア」の意識と実態を明らかにすることを目的としている。 第3年度は、男子・男性のワークライフキャリア形成の過程と全体像はどのようなものであり、各国にどのような類似点や相違点があるか。各国における実地調査の集計結果をもとに、研究メンバーの議論を通じてワークライフキャリア形成のモデルを提示し、国家間比較法により独自性を解明することが、当初の作業課題であった。しかしながら、予定していた現地調査は新型コロナウィルスの影響を受けて延期する必要があったため、男性のワークライフキャリア形成の過程と全体像をとらえるアプローチについて研究分担者と議論を重ね再検討した。 その結果、対象国における女性の教育に関する状況が予想以上にドラスティックに変容しており看過できないと考えた。そのため、最新の女性政策やジェンダーと教育に関する政策動向について、先行研究や各国政府・研究機関等がインターネット上で公表している文書・資料を網羅的に収集するよう努めた。 また、日本比較教育学会に参加・発表し、他の科研等の助成による研究と有機的に連携しながら成果の公表にも努めてきた。また、日本比較教育学会研究委員会主催オンラインワークショップを催し、広く研究成果を社会に還元するよう努めたことは、今年度最大の成果と言える。と同時に、このオンラインワークショップにおける議論の成果は、次なる科研に応募する素地となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響を受けて、予定していた現地調査を見送ることとなり、現地における調整および情報収集は遅れた。しかしながら、ジェンダーの視点による多様なアプローチを採用し、研究の成果を継続的に公表することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
外務省の渡航情報によると、新型コロナウィルスの影響により、対象国・対象地域への渡航の制限は緩和されつつある。 しかしながら、当該国の感染状況や医療体制の成熟度に鑑み、現地調査は見送り、文献や政策文書の分析により、研究の目的に迫るよう努める。 具体的には、ジェンダーの観点から、女性政策の動向と職業教育の歴史と現状に焦点を当てて調べる。加えて、先行研究や各国の政府や研究機関等がインターネット上で公表している文書・資料を継続的に収集することによって、当該テーマに対する理解を深める。そうした成果を、日本比較教育学会の課題研究Ⅱにおいて公表する予定である。 また、本年度より、インドネシアの教育に関する専門家である中田有紀氏に研究分担者に加わっていただくこととする。これにより、対象国・対象地域における ワークライフキャリアに関して、国内の多様性をより深く理解することができると期待している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症予防の影響で、昨年度予定していた実地調査を見送ったため、実地調査に係る次年度使用額が生じた。2022年4月現在、マレーシア及びインドネシアではレベル2「不要不急の渡航はやめてください。」という外務省の危険レベルが発出されている。 今後レベルが引き下げられ安全な渡航が見込まれる場合には、実地調査を行う可能性もあるが、本年度も引き続き渡航が難しい可能性は依然として高い。 そのため、女性の高学歴化、男性のワークライフキャリアの現状(男性の教育不振)に加えて、より資料を収集しやすい女性のワークライフキャリアに再接近したり、高等教育、中等教育及び職業教育の制度の観点からアプローチしたりすることによって、より包括的に、当該テーマの全体像の把握に努めることとする。最終年度にあたるため、研究成果にかかる図書および論文執筆に係る費用に充てることとする。
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