2020 Fiscal Year Research-status Report
自立支援から協同自立へ 被支援者による支援活動の可能性に関する総合的研究
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19K02534
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Research Institution | Sakushin Gakuin University |
Principal Investigator |
山尾 貴則 作新学院大学, 人間文化学部, 教授 (80343028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村澤 和多里 札幌学院大学, 心理学部, 教授 (80383090)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 若者自立支援活動 / 当事者研究 / 承認 / ホネット / べてるの家 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は研究代表者が当初予定していた研究、調査計画、すなわち本研究の大きな柱となる参与観察を伴う形での当事者研究に関する研究と、韓国における若者の社会的自立に関する支援実践の調査を行うはずであったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により国外はもちろん国内に移動も大きく制限されるなか、断念せざるを得なかった。 その一方、当事者研究の理論的な側面については、北海道の浦河で当事者研究を生み出し実践し続けているべてるの家の当事者の皆さんによって編まれた各種の書物を読み込む時間を得ることができた。 研究代表者の見るところ、べてるの家の当事者研究という実践は「自己の評価を自分自身に取り戻す試み」である。換言すれば、「自分の中に自分とは無関係に居座り自分を支配している価値体系としての自分」への縛られをほぐす営みである。そうした営みであることは、「幻聴さん」や「くどうくどき」といった、医療的な側面から見れば症状として排除されてしまう現象に対して「ともにいる他者の声」として向き合っていくといった姿勢によく表れている。そのような形で、「治療されるべき良くない存在」として医療によって位置づけられてきた自分を自分で評価できるようになることが当事者研究の強みである。こうした当事者研究における自分への接近の仕方は、本研究の主要なテーマである若者の社会的自立に関する支援実践において、「ちゃんとした社会人にならなければ」と自分で自分を追い込んでしまう若者に対してどのように接していけるかを考える上で非常に重要な示唆となることが確認された。 研究分担者においては当事者研究への参与観察を実施した。またべてるの家の向谷地生良氏らとの対談をオンラインシンポジウムの形で実施し、研究代表者も参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、当初予定していた聞き取り調査や若者自立支援活動の現場見学・調査等がほぼ実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの終息への見通しが立たないことを踏まえ、オンラインでの調査がいかに可能かを検討し、実施できるよう準備する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、当初予定していた研究活動(対面でのインタビューや現地見学・調査等)が実施できなかったた。新年度はオンラインでのインタビューの可能性を探り、調査を実施する。そのための機材を準備する費用等に充てる。
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