2019 Fiscal Year Research-status Report
非西洋後発国における業績主義とエリート間葛藤の関係性に関する比較教育社会史的研究
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19K02537
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
武石 典史 電気通信大学, 情報理工学域, 教授 (00613655)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 業績主義 / 非西洋社会 / 官僚 / 武官 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、武官の史料収集とデータ入力・分析に重点を置いた。 史料調査については鹿児島県立図書館、群馬県立文書館、岡山県立図書館、岡山県立記念資料館、タイ国立図書館において実施し、本研究に必要な史料を収集した。履歴管理ソフトを活用しつつ整理し、データの入力を遂行した。 武官(日本)に関連する史料、特に岡山県立記念資料館所蔵の松本学関係資料の分析を進めた。ここからは文官(内務官僚)からみた文官(陸海軍将校)の動向、特徴が浮き彫りとなった。こうした資料に基づき、新たな視点から1920年代以降の「軍内の学歴主義」と「諸ポストの階層性」との対応性・非対応性の実態を検討した。1920年代以降の軍政系統(陸軍省、海軍省)、軍令系統(参謀本部、軍令部)、出先機関(関東軍、連合艦隊)という分化についての分析を深める手がかりを得ることができた。 タイ国立図書館では、近代タイの主要武官の史料を収集し整理した。任用方法が文官から自律し、軍の養成学校の重要度が高まるプロセスを検討しつつ、選抜・人事傾向がどう変化していたのかを考察した。文官任用においてはパトロン・クライアント関係の影響からなかなか脱しきれなかったのに対し、武官は早くから学歴による任用が行われていたことを指摘した。また学歴を重視する(学校が武官を養成する)業績主義的システムになったからといって、文官との間に生じた出身階層のズレは強調できるほどではなかったのでは、という仮説を導き出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた国内外の公文書館等での一次資料の収集・整理、二次資料の整理、収集資料でデータベースの拡充をはかることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実施計画に優先順位を付けてより計画的に実施していく。
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Causes of Carryover |
いくつかの出張などが不可能になったことにより、支出額が減少したため、次年度使用額が生じた。次年度は前年度実施できなかった史料調査を実施する。
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