2022 Fiscal Year Annual Research Report
教育における障害者差別解消の推進と自治体教育政策過程との相互関係に関する研究
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19K02544
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 茂久 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50205506)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 障害者差別解消条例 / 対応要領 |
Outline of Annual Research Achievements |
教育における障害者差別解消に対して、過去3年間における研究において、国に関しては法制と内閣府および文科省中心とした対応指針・対応要領の検討を進め、都道府県に関しては差別解消に関わる条例・対応要領の検討を行ってきた。2022年度においては地方自治体の中でも都道府県に留まらず、政令指定都市にまで対象を拡大して条例と対応要領の分析を進めた。2013年に制定された障害者差別解消法は「不当な差別的取扱い」だけでなく「合理的配慮」を提供しない不作為をも差別としている。国に対しては基本方針の制定を義務づけ、行政機関の職員が適切に対応するためのガイドラインとなる対応要領や各種事業者のガイドラインとなる対応指針の策定を義務づけている。国レベルでの差別解消のための枠組みの整備と並行して、自治体レベルでも差別解消の制度構築が求められ、都道府県は無論のこと、市区町村でも創意工夫が進行している。そこで、2022年度は政令指定都市に焦点を絞って検討を進めた。20の政令市の差別解消条例と対応要領の中の教育分野に対象を絞って分析を進めるといくつかの特徴的な政令市が浮かび上がってきた。たとえば、多くの政令市では中央省庁の対応要領に倣っているのが通例であるのに対して、中央省庁の事例に追加してきわめて詳細な具体例を提示してるのが大阪市や熊本市であった。大阪市では対応要領の別紙留意事項で教育の場面やその他の場面での配慮事項を大幅に追加している。この点は別の角度から多様な配慮具体例を列記している熊本市も同様の特徴を示している。さらににはイラストを多用して市民に分かりやすい合理的配慮の例を示している札幌市も特徴的な政令市として指摘できる。以上のように、2022年度の研究によって、いくつかの政令市では他の政令市に比してきわめて詳細に視角に訴える工夫がなされていることを明らかにできた。
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