2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K02552
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
阿内 春生 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (10608839)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教育行政 / 教育と政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は市町村(東京都特別区を含む、以下同じ)議員の教育政策選好を分析し教育政策への政治アクターの関与について明らかにすること目的とするものである。すなわち、政治アクターの持っている政治的な背景が、どのように教育政策に影響を及ぼすのかを検証する実証研究である。 当初の予定では、インタビュー調査を中心に実証研究に取り組む予定であったが、令和2年度は新型コロナウィルスの感染拡大により予定していた調査等に制限が多く生じた。その中で、研究室内において遂行可能な研究に取り組み、東日本大震災以降の地方議会の動向について議会会議録の計量テキスト分析を行った。 東日本大震災で影響を受けた福島県において、災害対応によって地方議会の教育政策選好はどのように変遷したのか、県内3市(福島市、郡山市、いわき市)の各市議会会議録を予算を議論する3月議会に着目して震災以降の10年分収集した。 東日本大震災以降の東北地方の政治状況としては現職首長が次々と選挙に落選するいわゆる「現職ドミノ」が発生したことが注目されてきた(河村・伊藤2016、2017)。現職ドミノに関しては先行研究において震災時の初動が可視化されたことの重要さが指摘されており、政治状況に大きな影響を与えたとされる(河村・伊藤2016)。一方で仙台市議会選挙を事例として教育や防災分野の合意争点化(河村・伊藤2017)も指摘されていたが、地方議会議会内の議論についての検討が十分蓄積されておらず、この点の検証を目指した。 3市議会の会議録の計量テキスト分析の結果、教育政策について共通した関心を持つ会派の分類(自民党系・旧民主党系&共産党・社民党)が示唆されたほか、先行研究などが指摘していた、教育関連の「合意争点」化は会議録の分析を見る限り、必ずしもすべての教育政策には当てはまらないことが指摘できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の通り、教育政策に関する政策選好の分析にあたり、新型コロナウィルスの感染拡大により長距離を移動してのインタビュー調査など当初の予定通りの研究遂行は難しくなった。しかし、電子データで公表されている会議録の分析を先立って行う形に計画を一部変更して実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の新型コロナウィルスの感染拡大状況によっては引き続き長距離を移動してのインタビュー調査などが困難となる可能性がある。その場合には、電子データで公表されている会議録の分析に引き続き取り組むとともに、アンケート調査を併用するなど一部計画を変更して推進する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により長距離を移動してのインタビュー調査や学会出張などの旅費を中心に支出が困難となったため、大幅な研究計画の見直しを迫られたため。
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Research Products
(1 results)