2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K02557
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高橋 英児 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40324173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 啓之 日本福祉大学, 経済学部, 教授 (70253044)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 暴力予防 / 民主主義 / 多様性 / いじめ防止 / 参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目である令和2年度は、コロナ禍のためできなかったニーダーザクセン州のニーダーザクセン州立予防協議会内にある地域予防部局への現地調査と、ノルトライン=ヴェストファーレン州における暴力予防教育の体制についての資料収集を中心に年度計画を立てた。現地調査の可能性を年度いっぱい探ったが、コロナ感染症の拡大が収まらず、現地調査については中止せざるを得なかった。 ノルトライン=ヴェストファーレン州については、主に州レベルを中心に暴力予防教育に関する資料の収集をネット上で行った。州レベルでは、州学校省が「暴力予防の行動計画2019-2022(Aktionsplan Gewaltpraevention)」を策定し、それに基づいて暴力予防の取り組みを中心的に進めていることを明らかにした。具体的には、州・地方行政機関の組織や協会・社団法人(州内だけでなく全国的な)などと連携をしながら暴力予防に取り組んでおり、NRW州立暴力・ネット暴力予防事務所、学校心理学、NRW州子ども・青年保護協会、ネットワーク「レイシズムのない学校-勇気のある学校」ライオンズクラブなどの諸機関が暴力予防のための情報やプログラムを提供し、学校を支援している。 プログラムには、対立や衝突を解決できる力を生徒に育てる「学校におけるコンフリクトマネージメント」のように直接的な暴力予防に関する活動だけでなく、個々の子どもの権利意識を高め、差別や排除をなくし、多様性を容認する学校づくりを進める「レイシズムのない学校」「多様性の学校-同性愛敵視のない学校」「子どもの権利学校」などのように暴力が生まれにくい予防的環境づくりや、「soziogenial」のような生徒の地域・社会参加活動の支援などがあり、予防のためのプログラムは多岐にわたっていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究初年度にコロナ感染症拡大のため、当初予定していたニーダーザクセン州の州レベルの取り組みと都市レベルの取り組みでの各機関の連携の実態、各種プログラム開発の実態など詳細について関係者に直接インタビューしたり、取り組みの様子を参観することができないままである。今年度も、コロナ感染症の拡大のために現地調査の見通しが立てられていない。加えて、2年目に着手予定であったノルトライン=ヴェストファーレン州についても、州レベルの全体的な取り組みの概要は明らかにできたが、ニーダーザクセン州同様に現地調査への見通しが立てられていない。そのため、初年度の遅れと共に二年目の遅れも重なっているため「遅れている」と判断せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ザクセン州ないしノルトライン=ヴェストファーレン州に関する資料収集・文献調査を行う。その際、新たに生じている問題、例えば、教師への暴力、コロナ感染症拡大などで新たに生じている暴力の問題などについても情報を収集する。 なお、現地調査については、次年度も現地の研究協力者へ相談しながら、年度内の現地調査の可能性を追求する。なお、その過程で、オンラインでの聞き取り調査で代替可能な内容については、現地の関係者と相談しながらその可能性も検討する。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していた現地調査(連携協力者も同行)がコロナ感染症拡大のため実施できなかったため、旅費等の予算を次年度に繰り越しをしている。2021年度についてもコロナ感染症の拡大状況を見ながらではあるが、現地調査のための予算として使用していくことを計画している。
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