2022 Fiscal Year Research-status Report
工業系女子のキャリア形成にみる職業教育の現代的課題
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19K02563
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾川 満宏 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (30723366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾場 友和 大阪商業大学, 公共学部, 准教授 (50781374)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 職業教育 / 職業選択 / 進路選択 / 女性 / ジェンダー / カリキュラム / キャリア |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度までに実施した調査結果の一部をまとめた。具体的には、工業系カリキュラムを学ぶ生徒・学生に対する調査結果を分析し、工業系女子の学校・学科選択の経験を明らかにした成果を中国四国教育学会第74回大会で報告した(工業系女子のキャリア形成, 尾川満宏, 尾場友和, 中国四国教育学会第74回大会, 2022年12月04日、香川大学)。 分析の結果、工業系カリキュラムに進学した女子生徒・女子学生たちは、さまざまな経緯・理由から学校選択、学科選択を行っていたが、周囲(とくに親や友人)から工業系学校・学科に進学することを驚かれるなど、ジェンダー的視線にさらされつつも、比較的明確な職業希望を有してそれらの学校・学科を選択していることが明らかになった。と同時に、明確な職業希望や進学理由を語らねばならないこと、あるいは彼女たちがそうした語り方を獲得する過程は、依然として強固なジェンダー的磁場が存在していることを示唆しているものと考えられる。今後精緻に検証していく(尾川満宏・尾場友和、2023,「工業系女子のキャリア形成―学校学科選択の経験に着目して―」『教育学研究紀要(CD-ROM版)』68巻, pp. 354-359)。 加えて、欧米の労働者階級の若者たちに関する研究においては、労働者階級の女性の進路や生活、サブカルチャーなども検討されてきたが、日本においてはノンエリート女性の進路選択や職業選択、サブカルチャーに関する研究蓄積が乏しい点も指摘した(Mitsuhiro Ogawa et al., 2023, "From the reproduction of social class to the production of locality: Focusing on the narratives of young working class men in rural Japan, International Journal of Educational Research," International Journal of Educational Research, vol. 118: 1-2)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画に対しては進捗状況は依然として遅れているが、コロナ禍の収束傾向のなかで調査を徐々に進展させることができ、また研究会の開催、学会大会への参加などを通じて分析と考察もまとめることができた。来年度を最終年度とし、調査結果を整理する見通しを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
工業系女子のキャリア形成過程のうち、職業選択や職業生活の経験を中心に調査・分析を進め、最終的なまとめを行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による調査遅滞、学会大会のオンライン化などにより旅費支出が予想より少なかった。2023年度は調査の遅れを回復し、学会大会への参加などで支出する予定である。
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Research Products
(4 results)