2019 Fiscal Year Research-status Report
子ども・若者の能力主義・競争意識についての経年比較調査研究
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19K02565
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
長谷川 裕 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (30253933)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 能力主義・競争意識 / 能力主義 / 競争 / 子ども・若者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、今日の日本の子ども・若者において、能力主義原理とそれに伴う競争の社会過程を基本的に是認する意識(=「能力主義・競争意識」)が、どの程度存在しているか。その変化の傾向性を含めどのような様態で存在しているかを把握することを目的とし、その目的を果たすために、2000年代に実施され研究代表者が携わった学齢期の子ども・若者対象の2つの質問紙調査(=旧調査)の結果との経年比較が可能な形で、新たに子ども・若者対象の質問紙調査(=新調査)を実施することを主要な方法とするものである。 2019年度に予定していた作業は、主として以下の2つである。 (a)旧調査の結果の再分析、子ども・若者研究の動向の把握:上記の研究目的に照らして、旧調査の結果を改めて分析し直し、そこからどのような知見が引き出せるかを検討する。また、旧調査再分析の視点の確立と(b)の新調査の質問紙の作成のために、子ども・若者研究の、特に近年のその動向を詳細に精緻に把握する。 (b)新調査の質問紙の作成:(a)の作業を踏まえて、新調査において使用する質問紙を作成する。新調査で用いる質問紙は、基本的に旧調査のそれを踏襲するが、本研究の目的に照らして、必要な質問項目の追加・補強を、また必要度の低い項目の削減を施す。 (a)については、予定していた作業をおおよそ遂行できた。(b)については、質問紙の文面を仕上げるまでには至らなかったが、研究協力者との会議をもち議論することによって、上記の必要な質問項目の追加・補強、必要度の低い項目の削減について明確な方針を立てることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄に記したように、本年度予定していた主たる作業課題2つについて、おおよそ遂行することができたため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に予定していた作業は、主として以下の2つである。 (c)質問紙による統計的調査の実施:新調査は、旧調査とほぼ同様の設計となり、対象校についても、旧調査の協力校に改めて依頼をする。ただし、2つの旧調査は対象者や質問紙がかなり異なるものだったので、新調査もそれらに対応した2タイプを並行して実施することになる。得られたデータの分析は、調査協力校ごとに、その学校の結果と、当該校と同じ学校種全体の結果とを、また当該校の旧調査時の結果とを比較する基礎的な集計を行い、その学校の特徴を簡略に記した報告書を作成・送付するところから、その作業を始める。 (d)インタビューによる質的調査:(c)の質問紙調査のデータ分析を進める中で、特徴的な、あるいは典型的な回答傾向が見られた学校数校に依頼して、在籍する子ども・若者や教員を対象としたインタビューによる質的調査を実施し、統計的分析を補う事例的分析を行う。 2020年度はこれら2つの作業の遂行を目指すが、ただ年度当初の現時点において新型コロナウィルス感染症拡大状況があり、予定している調査を適切な形で行える可能性について不確定なところが大きい。今後の状況を見ながら、何がどこまで可能かを判断していかざるを得ない。
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