2022 Fiscal Year Annual Research Report
子ども・若者の能力主義・競争意識についての経年比較調査研究
Project/Area Number |
19K02565
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
長谷川 裕 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (30253933)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 能力主義・競争意識 / 能力主義 / 競争 / 子ども・若者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、今日の日本の子ども・若者において、能力主義原理とそれに伴う競争の社会過程を基本的に是認する意識(=「能力主義・競争意識」)が、どの程度存在しているか、その変化の傾向性を含めどのような様態で存在しているかを把握することを目的とし、その目的を果たすために、2000年代に実施され研究代表者が携わった学齢期の子ども・若者対象の2つの質問紙調査(=旧調査)の結果との経年比較が可能な形で、新たに子ども・若者対象の質問紙調査(=新調査)を行うことを主要な方法とするものである。 上記の新調査は2021年度に実施し、同年度末には、調査協力校向けに基礎集計報告書を作成し送付した。 2022年度は、基礎集計報告書作成過程で得た知見をより深めるべくいっそう詳細なデータ分析作業を行った上でその成果を、日本教育学会第81回大会にて口頭報告し、また所属機関の紀要に論文を執筆・掲載する形で発表した。さらに、それら2022年度の研究成果を盛り込んだ報告書を、再度調査協力校に送付した。 これらの研究成果の発表機会において明らかにできたことのうち、本研究のテーマである今日の日本の子ども・若者の「能力主義意識」については、旧調査の時期から新調査の時期にかけて、全体的に若者の間にその意識がより広範に浸透しているという変化の傾向がうかがわれるということだった。かつ、その意識の性質として、能力主義的であることをはじめとする既存社会秩序を是認した上で、その中で、首尾よくやっていくことができる者として自分自身のことも肯定し幸福感をもって暮らすことができる、そのような者が抱きやすい社会意識としての性格が強まっているという傾向がうかがわれた。
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Research Products
(2 results)