2021 Fiscal Year Research-status Report
Educational policy research supporting failing cases to retrieve its independence and autonomy
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19K02569
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
広瀬 裕子 専修大学, 人間科学部, 教授 (40208880)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自律性の機能不全 / 教育経営 / 介入支援政策 / Covid-19 / 地方教育行政 / 近代公教育 / 持田栄一 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、教育経営が重篤な機能不全を起こしたケースの分析を目的とし、イギリスのロンドンなどにみられた有事的状況下で教育行政が機能不全を起こしたケースに検討すべき要素の知見得られると注目していた。2020年度にCovid-19の感染拡大によって断念した現地調査は、2021年度に再開を探ったがやはり断念せざるを得なかった。機能不全問題の表出事例であるロンドンHackney自治区などに見られた地方行政の破綻に対応する中央政府の政策の把握分析に関しては、既に収集した資料及び情報を整理する作業に重点をおいた。並行して経年的に追跡していたイギリスの性教育制度(行政が自治を維持できない問題と相似するように個人が自律性を維持できない機能不全問題を表出した政策と把握できる)が25年ぶりに改正され、新制度が2020年度から開始したことに鑑みて、新しい性教育制度の把握分析にも力を割いた。 一方、現地調査を中断せざるを得なかったCovid-19の感染拡大そのものが、教育行政にとって有事的な状況をもたらしたのではないかという理解の下、2020年度には日本の学校教育がCovid-19という未曾有の事態にどのように対応したかの事例調査を開始した。教育長、教育委員会担当者、校長などの教育行政の担当者に対するヒアリングを含めた調査である。この調査には荒井英治郎(信州大学)を研究協力者として得ている。2021年度はこの調査を継続し、得られた情報を整理して日本教育行政学会第56回大会(福岡大学)において荒井と共同で発表した。並行して、専修大学社会科学研究所月報に2回にわたって論考を掲載した。 機能不全問題を素材として着想を得ていた教育行政学のプラットフォームに関する理論研究は、世織書房から理論研究のモチーフを整理した論稿2本を含む書籍を編著として出版し(『カリキュラム・学校・統治の理論―ポストグローバル化時代の教育の枠組み―』)、各方面での検討を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イギリスをフィールドとしたケース調査は進めることができず結果として現地におけるフォローアップ調査は断念した。イギリスのケースに関しては、すでに入手していた情報をもとにして理論化作業に重点を置いた。個人の自律性の機能不全を表出した性教育政策と、地方教育行政の機能不全の顕著な事例であるHackney区の教育改革政策を題材にした理論化作業の成果は、著書(編著)として出版した。 一方、新たな事例研究として日本の学校教育がコロナ禍発生時期をどのように対処したかに注目して、教育長、教育委員会担当者、校長などに対するヒアリングを行い、その概要についての整理作業を行なった。中間成果は日本教育行政学会の大会で発表するほか、専修大学社会科学研究所月報に2回にわたってまとめた。 当初の研究計画の中断および変更、しかし一方で新たな研究対象の導入、また研究成果の発表など総合的して概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年延長することとした。 機能不全問題をも含めた有事における教育行政対応に関する理論研究は、イギリスのHackney事例のみならず日本の教育行政のコロナ禍対応から得た知見をも加味した方向において進める。並行して個人の自律性の機能不全現象を背景にした政策という性格を持つ性教育政策については、新制度について情報収集し、一定の評価的理解を形成する。
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Causes of Carryover |
本研究が予定していたイギリスのフィールド調査は、コロナ禍により入国が制限されるなどして、2019年度以外は不可能となった。事態の収束を待ちつつも、並行して、教育行政の有事対応事例を日本国内のコロナ対応にも広げて求めて調査を開始したが、この日本調査については、研究期間途中での計画変更によるものあったため、未だ十分な資料収集と考察が行えていない。本格的に考察するためには2022年度も研究を継続する必要がある。 研究費は、追加調査および収集した情報の整理作業に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)