2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis on the restaint factors in Japanese cultural and institutional milieu.
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19K02572
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
加藤 潤 愛知大学, 文学部, 教授 (80194819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 隆博 中部大学, 人間力創成総合教育センター, 准教授 (10454448)
今津 孝次郎 愛知東邦大学, 教育学部, 教授 (30025118)
林 雅代 南山大学, 人文学部, 准教授 (40298550)
白山 真澄 (白山真澄) 東海学院大学, 人間関係学部, 教授(移行) (60726909)
長谷川 哲也 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (90631854)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リカレント教育 / 社会人の学び直し / イギリス社会人入学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画で予定した以下の点について確実に遂行した。 1)リカレント教育に関する理論的系譜の整理。2)社会人の学び直し意識調査に関する質問紙作成と対象企業との交渉。3)社会人の学びに関する質問紙調査の実施。4)社会人の学び直し調査結果のデータ整理。5)学び直しに関する国際比較調査(イギリスと日本とのキャリア形成比較) 1)に関しては、研究代表者加藤潤が担当し、1970年、OECDが提唱したrcurrent eucationの概念がその後、世界各国で変容していき、市場化の流れの中で補償教育の意味合いが薄れ、マンパワーの高度化、専門化のためのうツールとして使われてきた系譜が明らかになった。この成果は、すでに、2019年6月、第68回中部教育学会で口頭発表を終えている。2)、3)、4)、については、当初予定していたサンプル数よりはるかに多い収集ができた。愛知県を中心にして、岐阜県を含む8企業団体が協力してくれ、総数は1700サンプルに達した。企業の人事課を通じて配布してもらったため、回収率、回答率は9割を超えている。この事を考えると、本調査が極めて正確なデータを提供してくれることが期待される。対象企業は、従業員500人前後の地方中小企業と定義でき、その意味では日本人の学び直しに対する価値観をモーダルに表すと考えられる。それらのデータはすべて基礎集計が終わり、現在、分析担当の田川、長谷川が主に二項ロジスティック分析、因子分析を手法として、社会人が学び直しについてどのような態度、動機をもっているのか、また、学び直しを抑制する要因として何が存在するのか、それらの諸点についての因果分析を開始している。さらに、5)に関しては、2019年8月~9月にかけてのイギリスインタビュー調査の結果を書き下ろし、データとして共同研究者と共有しながら、日本の調査結果と比較分析する作業に入った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究遂行において、計画以上に進展した点は、以下の3点である。 1)リカレント教育の理論的系譜分析については、本年度で学会発表(中部教育学会)を終え、ほぼ計画遂行が終了したといえる。理論研究が進んだことで、実際の意識調査にかける時間が大幅に増えたと考えられる。 2)企業からの協力がスムーズに得られ、想定していた1000サンプルを超える1700サンプルが得られた。これは、現代の地方企業がグローバル社会の変化に対して不安をいだき、社員のスキルアップ、人材養成に高い関心をもっていることから、人事課、総務課を中心に、学び直し調査に積極的だったという事実が背景にある。この調査データは、基礎集計が終わり、社会人の学び直しに関する抑制要因のみならず、日本人がもっている学びに関する一般的意識(国民性といってもよい)が次第に明らかになりつつあると考えられる。これらは、共同研究者内でさらに精緻な検討を加え、学会発表にもっていく予定である。 3)国際比較調査は、本年度イギリスでの調査が順調に進んだ。そこでは、エクセター大学のアドミニストレータが全面的な協力を申し出てくれ、同大学の社会人入学戦略など、高等教育が新たな市場として社会人入学をターゲットにし、制度的インセンティブを設けていることがわかった。さらに、イギリス社会全体として、不平等の解消のため、低スキル者への補償教育として「学び直し」が位置付けられ、地方自治体に助成金を受け取りながらインターンシップができる制度があることがわかった。それらの多様性を裏付けているのは、イギリス人が植民地時代以降、「変化すること」「移動すること」に対してポジティブな価値観をもっているという文化的背景がある点が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降の残された研究課題遂行は、以下のように計画している。 1)2020年度:昨年終了した学び直しに関する意識調査の基礎集計を、因子分析、二項ロジスティック分析にかけ、リカレント教育を阻んでいる日本的な要因はなんであるのかを明らかにする。同時に、我が国の一般的国民(地方の中小企業で働く男女)が、人生の中で、「学校で学ぶ」ということについて、過去の経験を含めて、どのような価値づけ、意識を持っているのかを明らかにしていく予定である。さらに、量的データを補完するため、共同研究者の中で、個人の学び直し体験についてのインタビュー調査を進めている。これまで数名の日本人に行ったが、本年度さらにこの数を増やし、量的データとの照合を行いたい。これらがある程度明らかになった時点で、日本教育社会学会、日本生涯教育学会などでの発表を予定している。 2)量的分析を補完するためのインタビュー調査は、国内および国外で計画している。国内では、すでに学び直しを経験し、企業で働いている人々への聞き取りを通じて、学び直しがどのようなキャリアー効果を生むのか、または、それは無益だったのかについて、阻害要因も含めて明らかにしたい。また、海外でのインタビュー調査は、コロナウィルス感染状況によって、海外出張が微妙な状況になっているが、当初の計画どおり、ミャンマー、ヤンゴン大学およびヤンゴン日本人学校で、現地人および日本人教員に、キャリアと学びについてのインタビューを行う計画を立て、ヤンゴン大学および日本人学校校長からは受け入れ承諾を得ているので、今年度最後になっても、実現したいと考えている。 以上2点の研究遂行が完結すれば、本研究の骨格部分は明らかになってくると考える。
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Causes of Carryover |
本年度の予定であった社会人の学び直し調査について、想定以上に多くの企業からの協力が得られ、最終的に計画で計上したサンプル数である1000をはるかに超え、1700になった。このことから、質問紙印刷費、集計データ入力の費用が計画よりはるかに多くなったことから、前倒し支払いを依頼した。この費用は、当初、共同研究者の今津、田川への配分予算から支出する予定であったが、発注契約を研究代表者の加藤が結んだことから、すべて、加藤の研究費から支出することとなった。このことから、加藤の研究支出が計画より増加せざるをえなかった。 さらに、2019年8月~9月のイギリス調査では、多くのインタビュー協力者を得ることができ、滞在期間が長くなったことから、当初の予定旅費より若干多くかかった。これらの2点から計画遂行が順調だった分、研究費執行も増えていったというのが、背景要因である。本来、海外聞き取り調査は、2020年度の予定だったことから、ある意味では前倒した形で研究遂行したといえる。 以上が当初予算から次年度予算を使用しなければならなくなった理由である。
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Research Products
(4 results)