2020 Fiscal Year Research-status Report
1920年代日本の中等学校入学難問題にみる選抜の公正性に関する研究
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19K02573
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石岡 学 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (00624529)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中等学校入学難 / 選抜の公正性 / 1920年代 / 進路問題 / 入学試験 / 試験地獄 / 教育測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、申請書の研究計画に基づき、本研究課題の遂行に必要となる資料の調査・収集を進めた。調査・収集の方法としては、NDL ONLINE(国会図書館オンライン)やざっさくプラス(雑誌記事索引データベース)を用いた検索のほか、目視による下記教育雑誌目次の検索、古書店での調査・現物購入といった手段を採った。 上記作業によって具体的に調査・収集した資料は、中等学校入学難問題や入試方法(メンタルテスト等も含む)に関する書籍(ex. 楢崎淺太郎『選抜法概論』(1924年)、滝沢又市『我子の入学:入学難を救ふみち』(1926年)、市川源三『中学高女愛児の入学』(1928年)、朝日新聞社『中等学校入学問題の解決』(1929年)など)、および教育雑誌(『教育週報』『教育時論』『帝国教育』『教育論叢』『教育学術界』『教育研究』『学習研究』『学校教育』『小学校』『児童教育』『教育の世紀』『東京市教育会雑誌』等)あるいは関連記事を掲載した雑誌(『心理研究』『中央公論』『日本及日本人』『婦人之友』『婦人倶楽部』など)における中等学校入学難問題を扱った記事である。また、申請書で調査・収集を行う予定とはしていなかったが、当該期間における『朝日新聞』『読売新聞』の関連記事についても、調査・収集を行なった。 上記作業の結果、雑誌記事については1000件超、新聞記事については500件超、書籍については100件超の資料の調査・収集を本年度中に完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書において立案した研究計画では、本年度から令和3年度にかけて、分析対象となる資料の調査・収集・分析を行う予定としていた。 上記「研究実績の概要」の通り、本年度において分析対象となる資料の調査・収集はほぼ完了しており、令和3年度はこれらの分析に集中して取り組むことのできる態勢を整えることができた。 よって、本研究課題の遂行はほぼ当初の計画通りに進捗しており、「おむね順調に進展している」との評価が妥当である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度においては、申請書の研究計画に則り、これまでに収集した資料の分析作業を進めていく。具体的な分析手順は、以下の通りである。 まず、「入試撤廃期成同盟」など入試改革運動を先導した組織・団体の動きを中心に、いかなるアクターがいかなる活動を展開していたのかを、歴史的事実として明らかにする。それをふまえ、入試のあり方をめぐってどのような主張がなされたのか、特に論者の立場の差異(教育学研究者、心理学研究者、政策担当者、中等学校教員、小学校教育、保護者、児童等々)や地域差といった点に着目し、抽出と整理を行う。それらの分析を通して、それぞれの主張の前提となっている能力および公正性に対する観念を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で予定していた出張が困難となるなどの理由で、本年度は旅費の支出がなかった。余剰分は研究遂行に必要となる物品・資料等の購入に充当したが、わずかながら次年度への繰越金が生じた。約3000円と少額であるため、次年度の物品費・旅費等に充てることで、問題なく使用できるものと考えている。
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