2022 Fiscal Year Annual Research Report
1920年代日本の中等学校入学難問題にみる選抜の公正性に関する研究
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19K02573
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
石岡 学 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (00624529)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 入学試験 / 1920年代 / 中等学校 / 入試改革 / 能力観 / 教育と選抜 / 歴史社会学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1920年代日本の中等学校入学難をめぐる議論のありようを、当時刊行された関連書籍・雑誌記事等を主たる資料として、言説分析の観点から総体的に解明したものである。特に、入学試験のあり方をめぐる議論の中で、それぞれの主張の前提・根拠となる能力観に着目しつつ、選抜の公正性（＝公平性+正当性）がどのようなものとして捉えられていたのかを明らかにした。それを通して、近代日本社会に通底する選抜の公正性をめぐる問題系のフレームワークを解明した。そこには、中等学校入学資格をめぐる能力観、能力の可変性に対する認識、人為的選抜の技術的限界に対する認識の三つの要素が関連していた。
本研究の学術的独自性は、1920年代中等学校入学難問題に関する議論の全体像を総体的に明らかにした点である。同問題を取り扱った先行研究は一定数存在するが、同問題に触発された当時の「教育と選抜」をめぐる議論を包括的に検討したものは、本研究以前には存在しなかった。本研究は、同問題に関する決定版ともいえる知見の確立を企図したものであり、この点において学術的独自性があるものといえる。
本研究の創造性は、入試をめぐる議論の分析を通して、選抜の公正性に対する認識を明らかにした点である。入試をあり方をめぐる主張とは、大原則としてのメリトクラシーの原理（＝能力主義に基づく社会的地位配分の原理）を実践レベルでどのように運用すべきかに対する見解を意味する。したがって、それは論者の有する能力観によって規定されるものであり、それらの能力観の分析を通して選抜の公正性に対する社会的認識を解明することを本研究では目指した。
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