2022 Fiscal Year Research-status Report
National Integration in Fiji: Impact of Ethnic Interaction in Primary Education
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19K02575
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
畝川 憲之 近畿大学, 国際学部, 教授 (10388332)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フィジー / 民族 / 教育 / 国民統合 / Contact Theory / 民族間交流 / アイデンティティ / 民族分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィジーでは、民族間緊張の緩和、国民統合の達成が独立以来の最大の課題となっている。しかしながら、これまでのところ国民統合は達成されておらず、民族間の溝はいまだに存在している。その大きな要因の一つが、民族ごとに分離している初等(中等)教育の構造にあると考えられる。そこで本研究では、Allportらの主張するContact Theoryを手掛かりに、(1)初等教育における民族間の交流促進が民族間関係の改善および国民統合の発展に寄与する可能性、(2)交流促進の実行可能性の各点についての検証を通して、フィジーの初等教育における民族間交流と国民統合について、総合的な検証に挑む。これらの検証は、主に現地の初等教育機関教員へのインタビュー、生徒へのアンケート調査(他民族の生徒に対してどのような感情を持っているのか)、教育機関母体へのインタビューを通して行う。 本年度(令和4年度)は、3月(令和5年)に現地調査を行い、9つの初等教育機関で教員(Head Teacher)へのインタビューを行い、それぞれの学校における生徒の民族比率の状況把握、民族間交流の状況および民族間関係の現状把握を行った。また、7つの初等教育機関より生徒に対するアンケート調査実施の許可を得た(令和5年4月~5月にかけてオンラインにてアンケート調査実施の予定を伝え、承諾を得た)。 また、研究協力者であるFiji National University, College of Humanities and Educationの教員から研究協力の再開について同意をもらい、同教員の紹介のもと令和5年8月に上記7校以外でのインタビュー調査、生徒へのアンケート調査を実施することとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス感染拡大により、令和2、3年度に予定をしていた現地調査が中止となったため、これまで研究に大きな遅れが生じていた。本年度は現地調査を再開し、若干遅れを取り戻すことができたがまだやや遅れた状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、令和4年度に行った(1)初等教育機関における民族間の交流促進が民族間関係の改善および国民統合の発展に寄与する可能性の調査を継続して行う。また、(2)交流促進の実行可能性についての調査、研究も開始する。(1)の調査結果により、民族間交流の国民統合への寄与が明らかとなっても、教育機関の母体からの合意がなければ、民族間の交流促進の実行に舵を切ることができない。 (1)に関しては、初等教育機関リストをもとにスバ、ナンディ、ラウトカにある初等教育機関と連絡を取り、教職員へのインタビュー調査、民族構成をもとにした初等教育機関のグループ分け、生徒へのアンケート調査を実施する。本調査において、教育省、Fiji National University, College of Humanities and Educationの教員の協力、紹介の下、初等教育機関の教職員へのインタビュー調査、生徒へのアンケート調査を実施する。 (2)に関しては、教育省、Fiji National University, College of Humanities and Educationの教員の協力、紹介の下、初等教育機関の母体となっている宗教団体、民族コミュニティへのインタビュー調査を行う。また、フィジー系およびインド系の教員組合へのインタビューもあわせて行う。
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Causes of Carryover |
令和2年度、3年度において、コロナウィルス感染拡大によりフィジーへの渡航を断念せざるを得ない状況にあり、現地調査が中止となった。また、発表を予定していた国際学会も中止となった。このため令和4年度1年間での使用ができない繰越金が発生していた。1年間の研究期間延長が許可されたため、次年度も現地調査を継続するとともに、国内および国際学会での発表に残額を使用する予定である。
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