2019 Fiscal Year Research-status Report
Process of Forming Work Engagement for Kindergarten Teachers
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19K02579
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
香曽我部 琢 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (00398497)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 長期就業 / ポジティブ感情 / 保育士不足問題 / ワークエンゲージメント / 保育者効力感 |
Outline of Annual Research Achievements |
保育士の高い離職率を下げるために、質の高い保育を提供するための人材供給という視点で、キャリアパスの整備や経験に応じた処遇改善など、長期的なキャリアの在り方を改善する施策の必要性を示している。また、廣川(2008)も、離職するという短期的な経験ばかりが取り上げられ、「なぜ勤務を継続して頑張ることができるのか」という長期的な視点で保育者が就業を継続する経験に着目することの重要性を指摘している。しかしながら、いまだに保育者の就業継続の要因を対象とした研究は少ない。また、少ない研究においても、対象者の8割が経験7年未満保育者で、10年以上の長期的な視点で就業継続の要因を捉えた先行研究はほとんど見られない。 経験7年以下の保育者のデータではあるものの、就業継続の要因として阪木(2018)は、子どもの成長を実感することや保護者・同僚との良好な関係、西坂(2014)は勤務園の職場環境の良さや充実感、川俣(2018)は労働条件、人間関係、やりがいを示している。つまり、保育者の長期的な就業継続が、(ア)保育実践の質の高さ、(イ)他者との関係性の良好さ、(ウ)仕事に対するやりがいなどのポジティブな感情と関連することが想定される。 保育領域では、2000年ごろから離職の要因に関する研究が積み重ねられてきたが、保育者が就業継続する要因に関する研究はほとんど見られない。しかし、離職予防には、数年で離職した保育者の意識だけではなく、長期的に就業を継続している保育者の意識を明らかにすることが重要となる。 そこで、本研究では、今年度は保育者への質問紙調査を実施して、ワークエンゲージメント、保育者効力感などの保育者のポジティブ感情の現状について、経験年数群ごとの特徴について明らかにした。また、カンファレンスにおけるポジティブ感情の生起について、NIRSを用いた実証的研究も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は、ワークエンゲージメント、保育者効力感などの既存の尺度の質問項目を用いた大規模な質問紙調査を実施することができた。また、保育実践において用いられているカンファレンスにおけるポジティブ感情についても、NIRSを用いた実験ができ、それぞれのカンファレンスが保育者に与える影響についてNIRSと語りのデータによる混合研究法によって明らかにすることができた。ただし、2月、3月においてCOVID19の影響によって、保育者への追加のインタビューを実施することができなかったたため、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、1年目で得た保育者の関係性に関する質問紙調査データをもとに、既存のWE尺度を用いて、保育者用WE評価尺度の作成を目指しつつ、保育の質(ECERS-R)との関連性を明らかにするための研究を行う。 今年度に新たに作成する予定の保育者用WE評価尺度を用いて、都市部と地方の自治体の協力を得て30園以上でさらなる質問紙調査を実施する。 また、ワーク・エンゲージメントが形成されるプロセスについてインタビューし、複線径路・等至性アプローチでワーク・エンゲージメント形成プロセスを明らかにする。ただし、COVID19の影響もあり、直接的な対面によるインタビューの実施は難しいと考え、ZOOMやMEETなどのインターネットを使用したオンラインによるインタビューを実施する予定である。
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Research Products
(4 results)