2023 Fiscal Year Annual Research Report
初任保育者の乳児に対する子ども観と保育に関する縦断研究
Project/Area Number |
19K02584
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
中川 愛 奈良教育大学, 家庭科教育講座, 准教授 (30446223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 香織 神戸親和大学, 教育学部, 准教授 (40411938)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳児保育 / 初任保育者 / 子ども観 / 保育観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,(1)保育者が感じる乳児のかわいさを明らかにすること,(2)学生が感じる乳児のかわいさを明らかにすること,(3)0歳児担当保育者が,職場において,どのような安心感を得ているのかをSCATにより分析を行った。 (1)1年目保育者は,子どもをかわいいと感じており,その視点は子どもの発達とともに変化していた。子どものかわいさは,初任保育者のポジティブな感情を喚起させ,子ども観に影響を与え,担当クラスの保育者間や保護者との関係性が良好になるなど,保育環境にも影響を与えていることがわかった。また,2 年目保育者と比較したところ,保育経験により, 子どものかわいさを捉える視点は変化していく可能性があることが示唆された。 (2)学生は,実習を通じて子どものかわいさの手がかりを増やし,子どもへの理解を深めていた。また,子どものかわいさに関する話題を他の保育者や学生と話し合う場の存在が,子ども理解をさらに深め,子どもを観る力を育む機会となっていた。以上から,子どもの「かわいさ」への気づきは,学生や保育者の子ども観や保育観の形成に影響を与えている可能性があることが示唆された。 (3)0歳児担当の初任保育者が職場で感じる安心感の構成概念は,【自己成長】,【フィードバックと評価】,【他者との関係性】,【組織文化と風土】,【子ども】の5つのカテゴリーであった。そして,乳児の有能性(コンピテンス)に気づく保育者の子ども観が安心感につながること,複数の担当保育者らと子どもの肯定的な姿を共有し合える関係性は,保育の楽しさや面白さの気づきにつながることなどが明らかとなった。初任保育者の職場での安心感の構成要素を解明したことは,保育者の早期離職の防止においても重要な意義をもつ。今後は,初任保育者が安心感を持って働ける職場環境を構築するための具体的な方法や方策を検討していきたい。
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